コラム|船橋の歯医者|かわせみデンタルクリニック

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歯の詰め物の「変色」に要注意!コーヒー、お茶、赤ワインの影響は?

歯の詰め物で使われるコンポジットレジンの変色についての論文を見つけたのでまとめました。


コンポジットレジンをコーヒー、ウーロン茶、または赤ワインで染色します

Omata Y, Uno S, Nakaoki Y, Tanaka T, Sano H, Yoshida S, Sidhu SK. Staining of hybrid composites with coffee, oolong tea, or red wine. Dent Mater J 2006; 25: 125-131.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/dmj/25/1/25_1_125/_article


歯の治療で使われる白い詰め物、「コンポジットレジン」をご存じでしょうか?これは、天然の歯に近い色合いで、見た目の美しさが優れているため、多くの患者さんから求められ、広く使われています。しかし、この白い詰め物が時間の経過とともに変色してしまうことが、長年の課題となっています。

変色には、材料自体が変化する「内部からの変色」と、食べ物や飲み物など外部からの影響による「外部からの変色」があります。近年の材料では、内部からの変色は大幅に減少しましたが、コーヒー、お茶、ワインといった日常的に摂取する飲み物による「外部からの変色」は、今も審美的な問題として残っています

この研究では、この白い詰め物(レジンコンポジット)が、コーヒー烏龍茶赤ワインによってどのように変色するか、そしてうがい薬の薬効成分の一種であるクロルヘキシジン(CHX)がその変色にどのような影響を与えるのかを詳しく調べています。


研究方法

研究では、まず直径10mm、厚さ5mmの円盤状の白い詰め物のサンプルを作成しました。これらのサンプルは、まるで人間のお口の中を再現するかのように、24時間ごとのサイクルで様々な液体に浸されました。

  1. まず、唾液の主成分であるムチンを含む「人工唾液」に17時間浸します。
  2. 次に、コーヒー、烏龍茶、または赤ワインのいずれかに7時間浸します。
  3. このサイクルを、1週間、2週間、4週間にわたって毎日繰り返しました。

さらに、変色への影響を見るために、以下の特別な処理も行われました。

  • 歯みがきの効果: 飲み物に浸した後に、電動歯ブラシを使って10秒間ブラッシングを行いました。
  • クロルヘキシジン(CHX)の効果: 飲み物に浸した後に、殺菌作用のあるうがい薬(0.2% CHX溶液)に10分間浸しました。

変色の度合いは、デジタル画像を用いて、色の濃淡を数値化する「グレースケール分析」という方法で評価されました。これは、様々な色合いの着色を公平に比較できる方法です。


研究から見えてきたこと:意外な「変色の法則」

この研究から、白い詰め物の変色に関して、いくつかの重要な発見がありました。

飲み物単体では変色しにくい?

  • 驚くべきことに、ムチンを含まない蒸留水に浸しただけの状態では、コーヒー、お茶、ワインのいずれも、白い詰め物の変色に大きな変化は与えませんでした。

唾液成分「ムチン」が変色のカギ!

  • ムチンを含む人工唾液に浸しただけで、1週間以内に詰め物が変色しました。これは、ムチン自体がわずかに黄色味を帯びているためと考えられています。
  • そして、人工唾液がある環境下では、飲み物による変色の度合いが大きく変わりました。

変色の「強さ」ランキングは?

  • 人工唾液がある場合、赤ワインが最も著しい変色を引き起こし、次いで烏龍茶、そしてコーヒーの順でした
  • 特に赤ワインによる変色は時間とともに大きく増加しました。

歯みがきの効果は飲み物によって違う?

  • 歯みがきは、唾液成分(ムチン)による変色を減らす効果がありましたが、完全に除去することはできませんでした。
  • 興味深いことに、赤ワインによる変色は歯みがきによって減少しました。これは、ワインに含まれるアルコールが詰め物の表面をわずかに粗くし、色素が付着しやすくなる一方で、その劣化した表面から着色が歯みがきによって除去されやすくなる可能性があると示唆されています。
  • 一方、コーヒーによる変色は、歯みがきによって逆に増加する傾向が見られました。研究者たちは、唾液のムチンがコーヒーによる着色を防ぐ「バリア」を形成しており、歯みがきによってこのバリアが取り除かれてしまうためではないかと推測しています。
  • 烏龍茶の変色は、歯みがきによる除去に比較的抵抗性があるように見えました。

  • クロルヘキシジン(CHX)が変色を「加速」させる!
    • うがい薬として使われるクロルヘキシジン(CHX)は、唾液成分(ムチン)単独による変色を減少させる効果が見られました。
    • しかし、驚くべきことに、CHXは、すべての飲み物(コーヒー、烏龍茶、赤ワイン)による変色効果を著しく増加させました。特に2週間、4週間と長く使用した場合に顕著でした。
    • これは、CHXのような陽イオン性(プラスの電荷を持つ)の殺菌剤が、飲み物に含まれる陰イオン性(マイナスの電荷を持つ)の色素と結合したり沈殿させたりすることで、着色をより強固にしてしまうためと考えられています。

まとめ:あなたの白い詰め物を守るために

この研究から、歯の白い詰め物の変色は、単に飲み物の色の問題だけでなく、唾液の成分、歯みがきの方法、そして使用するうがい薬の種類といった様々な要因が複雑に絡み合って起こることが明らかになりました。

特に、以下の点が注目されます。

  • 赤ワインが最も変色を引き起こしやすい
  • 歯みがきは赤ワインによる変色には効果があるが、コーヒーの変色を悪化させる可能性もある。
  • クロルヘキシジン(CHX)は、コーヒーや烏龍茶といった飲み物と併用すると、かえって変色を促進する可能性があるため注意が必要です。

あなたの白い詰め物を美しく保つためには、これらの情報を参考に、日常の飲食やオーラルケアに意識を向けることが大切かもしれません。より詳しい変色のメカニズムについては、今後のさらなる研究が期待されます。


https://www.kawasemi-dc.jp/_cms/6402