人工甘味料って結局どうなの? -種類と特徴について-
2024/11/21 情報を追加・編集
人工甘味料はあまり良くないと言われています。ではまず、何が人工甘味料か確認してみましょう。
人工甘味料とは
人工甘味料とは、化学的に合成された甘味料で、砂糖の代替品として使用されるものです。人工甘味料には、糖アルコールと合成甘味料の2種類があります。どちらも虫歯菌が代謝できず酸を作れないため虫歯にならないのが特徴です。
甘味料の分類
甘味料
>糖質甘味料(砂糖、糖アルコール、でん粉由来の糖、その他の糖)
>非糖質甘味料(天然甘味料、人工甘味料)
糖アルコールとは
炭水化物の一種で、砂糖よりも低カロリーで甘味があります。糖アルコールの一つであるキシリトールはもともと天然にも存在している成分であり、イチゴなどに含まれています。しかし、食品に使われているキシリトールは、シラカバなどから抽出した「キシラン」という糖質を化学的に分解して製造されています。そのため、人工甘味料に分類されています。過剰摂取すると下痢や腹痛を引き起こすことがあります。また、少ないもののカロリーがゼロではありません。
甘味料で発音して最後にトール(トォール)とつくものは糖アルコール(sugar alc“ohol”)と覚えておくと覚えやすいです。
キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール(還元麦芽糖)、エリスリトール、還元水飴 などがあります。
合成甘味料とは
化学的に作られた甘味成分です。砂糖よりもはるかに強い甘味があります。合成甘味料には、アスパルテーム、スクラロース、サッカリンなどがあります。合成甘味料のメリットは、カロリーがゼロであることや、少量で十分な甘さを得られることです。デメリットは甘味依存を招くことです。
サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK(カリウム)、スクラロース、ネオテーム、アドバンテーム などがあります。
では次に、どんな研究があってどう考えられているか見てみましょう。
人工甘味料と糖代謝
人工甘味料は味覚刺激や最近では腸内細菌叢の変化を介して糖代謝に影響すると考えられています。
人工甘味料と糖代謝|農畜産業振興機構 (2017年)
こちらのまとめによると
“人工甘味料による肥満・耐糖能障害の発症の機序はいくつか想定されているものの、まだ不明な点が多く、さらなる動物実験やヒトを対象とした研究が必要と思われる。”とされています。
アスパルテームについて
アスパルテームは非糖質甘味料の人工甘味料で、厚生労働省が使用を認めている「指定添加物」に分類されています。人工甘味料の中でも有名で、世界でも100カ国以上に使用が許可されている食品添加物です。これについて人工甘味料「アスパルテーム」に発がん性の“可能性がある”とWHOから発表がありました。Aspartame hazard and risk assessment results released: WHO 14 July 2023
この発表において、アスパルテームは2Bに分類され、「一般的な含有量では安全性に大きな懸念はない」としています。
国内での情報はこちらにまとまっています。
アスパルテームに関するQ&A | 食品安全委員会 – 食の安全、を科学する 内閣府 2023年7月19日更新
ちなみに、アスパルテームについてはフェニルケトン尿症の人は要注意で、フェニルアラニンを分解できないためフェニルアラニンの摂取を続けると体内にフェニルアラニンが蓄積し、知的障害を引き起こします。アスパルテームは「アスパラギン酸」と「フェニルアラニン」の化合物です。そのためフェニルケトン尿症の方は、アスパルテームの摂取を制限しなければなりません。
フェニルアラニンは、タンパク質を構成するアミノ酸のひとつなので、フェニルケトン尿症の方はたんぱく質の食事制限をしています。
人工甘味料の使用に関するガイドライン
2023年5月にWHOの「人工甘味料の使用に関するガイドライン(Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline )」が発表されています。また、こちらに関して、人工甘味料の使用に関する WHO ガイドラインについて考える|農畜産業振興機構 が日本語で書かれています。
この記事のまとめでは
“人工甘味料を長期的に使うことの安全性については、まだ明確になっていないことも多く、WHOのいう通り「減量や生活習慣病の予防」のために漠然と人工甘味料を使い続けることは適切ではない。”
“甘みを補う手段として「砂糖の代わりに人工甘味料を使用すること」については、血糖を上げず、摂取カロリーの低減にもつながるなどの利点があることもWHOは認めている。”
“そう考えると、極端に人工甘味料を避ける必要はないと思われる。”
とされています。
歯科とはどう関係するの?
・人工甘味料のサッカリンが日本で発売されている多くの歯磨き粉に使用されている
食べるものではなく、基本的に口から吐き出したり、ゆすいだりしますし、歯磨き粉の使用量自体もごく少量なので気にしなくて良いと思います。
・虫歯の原因にならない
キシリトールガムなどが有名ですね。キシリトールは食べすぎるとお腹がゆるくなります。
・血糖値を上げない
糖尿病になると歯周病が悪化する可能性が高いため、不用意に血糖値を上げないのはお口の中の健康のためにも良いことです。
・歯科と直接関係のある悪い情報は今のところ出てきていない
ということで、現在のところ明らかに問題があるというわけではなさそうですがあまり良くない研究結果も出てきているようなので、当院でも積極的に摂取することは控えるべきかと考えます。甘いものを食べるのも幸せの一つの形ですが、何事もほどほどが一番ではないでしょうか。