熱中症予防・対策にスポーツドリンクはダメ!
熱中症にならないため、予防としてスポーツドリンクを飲む方は多いかと思います。また、熱中症になった時のためにスポーツドリンクを常備している方もいらっしゃるでしょう。そんな方に向けての記事です。
スポーツドリンクの問題点
熱中症予防や対策として広く飲用されるスポーツドリンクは、以下の点で問題があります。
- 脱水時の電解質補給には不適切
- う蝕(虫歯)リスクの増大
- 酸蝕症の誘発
- 「だらだら飲み習慣」による影響
1. 脱水症対策としての飲料の選択
日本学校歯科医会は、熱中症予防の基本は「水」であり、脱水症状が出始めた場合には電解質を適切に補給できる経口補水液を推奨している一方、スポーツドリンクでは必要なナトリウム・カリウムが十分に含まれておらず、むし歯の原因となる糖分が多量に含まれるため、熱中症対策としては不十分であると指摘しています。
日本小児歯科学会も、スポーツドリンクは経口補水液に比べて糖分が高く甘味が強いため、乳幼児では低ナトリウム血症を起こすリスクがあり、まただらだら飲みの習慣化によりむし歯および酸蝕症の原因となると警鐘を鳴らしています。
2. 歯科的観点から見た問題点
- スポーツドリンク500mlあたり角砂糖6〜10個分の糖分を含み、糖分を好むミュータンス菌が酸を産生し、歯の脱灰を促進、虫歯の原因となります。
- pH3.6〜4.6と低く、エナメル質が脱灰し始めるpH5.4以下を大きく下回るため、酸蝕症を引き起こす。
- 酸性飲料によるエナメル質損傷として、In vitro試験では、スポーツドリンクにより6日間の人工脱灰を行うとエナメル質の脱灰が認められ、さらにその後のブラッシングでより深刻なエナメル質損傷が生じることが報告されています。
3. 対策・ガイドライン
日本小児歯科学会の提言
- 乳幼児期
- 過激な運動や極端に汗をかいた場合以外は普通の水を与え、イオン飲料を水代わりにしない。
- 軽度脱水には経口補水液を用い、改善後は水で補給。
- 寝る前・就寝中にイオン飲料を与えず、歯磨きや口腔内清拭を徹底。
- 学童期
- 運動中には経口補水液を用い、運動後は水で補給。
- ペットボトルを常に持ち歩きだらだら飲みする習慣を避ける。
- のどが渇いたときは水を飲む習慣を徹底。
日本学校歯科医会の呼びかけ
- 熱中症予防は基本的に水分補給は「水」、脱水時は「経口補水液」を使用し、スポーツドリンクはむし歯リスクを高めるため推奨しない。

4. まとめ
- 熱中症予防・対策にスポーツドリンクはダメ
- 熱中症の初期症状には経口補水液
- 熱中症の予防にはスポーツドリンクも経口補水液も不要
- 基本は水や麦茶、栄養や塩分は食事としてきちんと摂取していれば問題ありません
- 例外として、マラソンやトライアスロンなど、長期間の運動で水分や食事が長時間制限されそうな場合に限り、スポーツドリンクは有用です
参考文献
- 日本小児歯科学会. イオン飲料とむし歯に関する考え方.
https://www.jspd.or.jp/recommendation/article10/ - 柬理賴亮・古澤歩・長谷川優. スポーツ飲料によるヒト抜去歯エナメル質の脱灰とブラッシングの影響. J No Hs 14(1):52–60.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnohs/14/1/14_52/_pdf/-char/ja - 厚生労働省. 分担研究報告書(令和4年度) 労働安全衛生法に基づく歯科医師による酸蝕症評価.
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202223015A-buntan3.pdf
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