歯の生え変わりの不思議──3度・4度生え換わる人も?
歯は一度生えたら終わりと思われがちですが、実は動物によって「歯列の交換様式」には大きな違いがあります。さらに、極めてまれなケースではヒトにも通常の乳歯・永久歯のあと、第三歯列や第四歯列が生えることが報告されています。本記事では、歯の生え変わり様式の種類と特徴、そしてギネス認定された「最も多くの歯列を持つ人」の逸話をご紹介します。
1. 歯の生え変わり様式3タイプ
動物の歯の生え変わりは大きく3つに分類されます。
単一歯列(Monophyodont)
- 生涯にわたり一度だけ歯が生える。
- 交換や増補は行われず、一生同じ歯を使い続ける。
- 例:イルカ、一部の魚類や爬虫類など。
二歯列(Diphyodont)
- 乳歯列から永久歯列へ1度だけ置換する。
- ほとんどの哺乳類がこの様式を持つ。
- ヒトでは生後6ヶ月頃から乳歯20本が生え揃い、6~12歳で徐々に脱落して永久歯32本に置き換わる。
- 例:ヒト、イヌ、ネコ、ウシなど。
多歯列(Polyphyodont)
- 歯が波状に次々と生え変わり、古い歯は自然に排出される。
- 顎や食性に応じて頻繁に新歯が補充されるため、咀嚼面の摩耗を防げる。
- 例:サメやワニでは数ヶ月ごとに新歯が交換され、一生涯で数千本に及ぶこともある。
2. ヒトにもある“第三・第四歯列”の記録
通常ヒトは「二歯列」ですが、ごくまれに第三歯列(サードセット)の成長が確認されるケースがあります。さらに希少な「第四歯列」まで報告された有名な例が、Lison’s case(リソンの症例)です。
- 第三歯列(Late Third Dentition)
何度か報告されており、多くは中年以降に成長。 - 第四歯列(Fourth Dentition)/Lison’s case
1896年、フランスで第四歯列の成長が文献に記録された。歯科医療史上でも極めて珍しい事例として知られる。
これらは極端な例ではあるものの、歯の再生メカニズムや歯胚(しはい)の残存状態を読み解く手がかりとして、現在の再生医療研究でも注目されています。
3. 歯列様式の生物学的意義と応用
- 単一歯列では歯の耐久性が命。損傷時の補綴治療が重要になる。
- 二歯列は成長期に適応した交換機構。乳歯は噛み切り・発音、永久歯は咀嚼の機能に特化。
- 多歯列は歯の摩耗や損耗を最小限に抑える進化。貴重な再生モデルとして歯科再生医療への応用が期待される。
そして、人間でもまれに第三・第四歯列が出現する事例は、歯再生の可能性を示す“自然の実験場”とも言えます。これらの知見を踏まえ、将来的には歯を失った際の“自然治癒力”を引き出す治療法が確立されるかもしれません。
まとめ
歯の生え変わりは、動物の進化と生活史に深く結びついた重要な適応戦略です。研究が進むにつれて、歯再生のメカニズム解明が進み、私たちの歯科医療にも革命をもたらす日が来ることでしょう。
参考文献
- Dentition – Wikipedia
- Most sets of teeth | Guinness World Records
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