【音楽】【吹奏楽】オーボエやファゴットで睡眠時無呼吸が治るかも!
睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、睡眠中に上気道が狭くなることで呼吸が途絶え、「いびき」や「日中の強い眠気」を引き起こす病気です。近年の研究では、オーボエやファゴットなどの吹奏楽器演奏や、ディジュリドゥ、ほら貝の吹奏が、上気道周囲の筋肉を強化し、OSA症状の改善につながる可能性が示されています。本記事では、主要な研究成果とその背景、実践ポイントをまとめました。
1. 上気道拡張筋トレーニングとしてのメカニズム
吹奏楽器の演奏では、口輪筋や舌、軟口蓋周囲の筋肉が持続的かつ反復的に収縮し、気道を開いたままにする“上気道拡張筋”のトレーニングになります。これにより、睡眠中の気道閉塞が抑制されると考えられています。
Rajam氏らがインドで実施した研究によると、高抵抗管楽器奏者64名(ほとんどがナタスワラム奏者、その他トランペット、クラリネット奏者)と、管楽器を演奏しない65名を比較した場合、管楽器を演奏する人は、一般の人と比べて肺機能が特に優れているわけではありませんでした。しかし、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を発症するリスクは有意に低いことが示されました。このリスクの低減は、肺機能の改善ではなく、管楽器の演奏で上気道筋の緊張が高まることによると考えられます。したがって、管楽器の演奏は、OSAのリスクを減らす、または治療する選択肢として考慮されるかもしれません。

2. 二重葦楽器奏者のリスク低減
Wardらの横断調査では、オーボエやファゴットといった二重葦(double‐reed)楽器奏者は、非奏者に比べてOSA自己申告リスクが有意に低いことが確認されました(p=0.047)。クラリネットやトランペット奏者では有意差が認められず、二重葦楽器特有の高い口腔内圧が上気道筋をより強力に鍛える可能性を示唆しています。
| 楽器種類 | OSA リスク(自己申告) | 備考 |
|---|---|---|
| 二重葦(オーボエ等) | 低い(有意差あり) | 上気道筋トレーニング効果 |
| 単一葦(クラリネット等) | 有意差なし | — |
| 高金管(トランペット等) | 有意差なし | — |
| 低金管(トロンボーン等) | 有意差なし | — |
| 非吹奏楽器奏者 | — | 比較対照 |

3. ディジュリドゥ演奏による改善効果
オーストラリアの研究では、ディジュリドゥ演奏者が1日10分×6週間の演奏訓練を実施し、
- 無呼吸低呼吸指数(AHI)が有意に減少
- 日中の眠気スコアが改善
- パートナーによる睡眠質評価も向上

といった成果を報告。継続的な楽器演奏が有効な呼吸筋トレーニングであることが示されました。
4. ほら貝吹奏のランダム化比較試験
2025年6月にERJ Open Researchに掲載されたランダム化比較試験では、中等度OSA患者30名を以下の2群に分けて6ヶ月間介入を比較しました。
- 介入群(14名):ほら貝吹奏訓練(1日15分)
- 対照群(16名):深呼吸エクササイズ(シャム処置)
主な成果
- 日中の眠気(ESSスコア):介入群で34%減少(群間差 −4.69ポイント;p=0.0145)
- 睡眠の質(PSQIスコア):介入群で−1.8ポイント改善(群間差 −3.1ポイント)
- AHI:介入群で−4.4件/時減少(群間差 −5.62件/時)
深呼吸体操より高い改善効果と85%の高い継続率を示し、ほら貝が新たな呼吸筋トレーニング法として期待されます。

ちなみに、ほら貝は買うと20~30万円の価格帯なので3Dプリンタで自作した人もいるみたいです。
一時は販売もされていた様子:デジタルホラ貝 HoraGuy – カシャゴ製作所(製作者:デゴチ) – BOOTH
5. 実践するためには
- 楽器選び:二重葦楽器(オーボエ・ファゴット)、ディジュリドゥ、ほら貝など口腔内圧負荷が大きいものが効果的。
- 練習時間・頻度:1日10〜15分、週5日以上を目安に6週間以上継続。
- 楽しむ工夫:好きな曲や練習仲間とのセッションで“楽しさ”を維持し、継続率を高める。
- 医師への相談:重度OSAや持病のある方は、専門医と相談のうえ実施しましょう。
オーボエを調べたら『響け!ユーフォニアム』の鎧塚みぞれの楽器だったのでリードの話をすぐに思い出せました。ユーフォみたいな大きくて肺活量必要そうな楽器も効果がありそうかなと思ったのですが、そういう訳ではないようですね。
過去に楽器を吹いていて、睡眠時無呼吸になりそうな人、なった人はもう一度楽器を始めてみるのもいいかも知れません。
参考文献
- van der Weijden et al. “The effect of playing a wind instrument or singing on risk of sleep apnea: a systematic review and meta-analysis”
演奏・歌唱が睡眠時無呼吸リスクに及ぼす影響:系統的レビューとメタ解析
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7970593/ - Subramanian RK, Joshua SD, et al. “Estimation of Lung Functions and Risk of Developing Obstructive Sleep Apnoea in Wind Instrument Players.”
管楽器演奏者の肺機能と閉塞性睡眠時無呼吸症候群の発症リスクの推定
Indian Journal of Physiology and Pharmacology. 2018;62(1):59–65.
https://www.ijpp.com/IJPP%20archives/2018_62_1/59-65.pdf - Risk of Obstructive Sleep Apnea Lower in Double Reed Wind Instrument Players
二重葦楽器奏者のOSAリスク低減
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3365082/ - Playing a Wind Instrument Could Help Lower Sleep Apnea Risk
吹奏楽器演奏が睡眠時無呼吸リスクを低減する可能性
https://sleepreviewmag.com/sleep-disorders/breathing-disorders/obstructive-sleep-apnea/wind-instrument-could-help-lower-sleep-apnea-risk/ - Sharma KK, Gupta R, Choyal T. Efficacy of blowing shankh on moderate sleep apnea: a randomised control trial
ほら貝吹奏による中等度OSA改善効果のランダム化比較試験
https://publications.ersnet.org/content/erjor/early/2025/06/05/2312054100258-2025
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