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歯科初診・再診の“真のコスト”:時間と費用のリアルデータ

主要結論
歯科の初診料・再診料は、人的コスト、物的コスト、施設維持コストなどを包括的に評価する診療報酬点数により算定されている。タイムスタディによると、初診平均時間は8〜12分、再診平均時間は4〜6分が目安であり、スタッフ時給から換算すると、初診あたり約3,000〜5,000円、再診あたり約1,000〜2,000円の人的コストが想定できる。

1. 診療報酬に含まれる運用コスト項目

厚生労働省は、初診料・再診料に以下のコストを評価対象と定義している。

  • 人的コスト:医師・歯科衛生士等による視診・触診・問診・カルテ記載等の人件費
  • 物的コスト:カルテ用紙、問診票、紙コップ、エプロン、手袋、マスク等の消耗品費
  • 施設維持コスト:光熱費、施設整備費(建物・設備の維持管理費用)
  • 各種加算:時間外・休日診療、障害者対応、外来診療環境整備加算 等

2. タイムスタディによる診療行為の平均所要時間

2016年度日本歯科医学会「歯科診療行為のタイムスタディー調査」より、初診・再診の平均所要時間を診療領域別にまとめた(単位:分)。

診療領域初診平均時間再診平均時間
保存修復10.15.0
歯内治療9.95.3
歯周治療10.85.3
義歯7.95.0
クラウンブリッジ8.94.7
口腔外科17.57.3
在宅歯科診療9.85.5
顎関節症・歯ぎしり26.110.0
歯科矯正30.87.5
小児歯科(6歳以上)11.05.5
小児歯科(6歳未満)15.45.4
周術期口腔機能管理10.47.7

歯科診療行為のタイムスタディ(2016年度)によると、初診行為では受付・後片付けを除いたデータ収集のため、実際の事務処理時間を加えると実測値はさらに増大するとしている。

国立保健医療科学院らによる文献レビュー調査によれば、歯科診療行為全般の時間データの中で、初診行為(問診、診査、バイタル測定、診断、インフォームドコンセントを含む)に要する平均時間は約9.3分である一方、広島県歯科医師会が想定する「理想診療時間」は約43.0分とされた。この乖離は、現場実態の事務処理範囲や効率差を示唆している。再診行為の平均時間:約3.9分(理想:約13.0分)これらの時間データを各医院のスタッフ時給(歯科医師、歯科衛生士、受付事務)で乗じることで、おおよその人的コストを算出可能である。

3. 人件費換算例

診療所運営を想定し、以下の時給設定で換算した場合の人的コスト例を示す。

スタッフ区分時給単位時間/分初診コスト例再診コスト例
歯科医師¥10,000/h¥167/分10分×¥167=¥1,6705分×¥167=¥835
歯科衛生士¥3,000/h¥50/分10分×¥50=¥5005分×¥50=¥250
受付事務¥1,500/h¥25/分10分×¥25=¥2505分×¥25=¥125
合計目安約¥3,000〜5,000約¥1,000〜2,000

3. 消耗品・光熱費など物的コストの現状

公的調査では「消耗材料」をまとめて評価するが、個別の単価や使用量を分離したデータは未公表である。一般的に含まれる項目は以下。

  • 紙コップ、エプロン、手袋、ガウン、マスク等のディスポーザブル用品
  • 診察台清拭用のアルコール、消毒液
  • 問診票・カルテ用紙、印刷物

一方、厚労省「平成17年度医療安全に関するコスト調査」では、歯科診療所の年間医療安全コストは収入比4.0%と報告され(全診療所平均1.2%)。これには主にディスポーザブル用品やオートクレーブ等の設備費、研修人件費が含まれるが、歯科初再診単位あたりの具体額は示されていない。日本歯科医師会「中医協・医療経済実態調査」(2024年度)では、歯科診療材料費が前回改定後1.5%増と報告され、その他医業費用を含めた経費増加の可能性を指摘している。

4. 今後の課題

現行報酬点数は包括評価のため、項目別・金額別の詳細な実コストは公表されていない。消耗品の使用量集計、光熱費の月次分析、現場タイムスタディ再実施など、各医院での個別調査が運用コストを精緻化する上で不可欠である。


参考文献

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