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【眼科と歯科】緑内障と歯周病:アメリカ眼科学会も推奨する口腔ケア

私たちの歯ぐきの健康は、目の病気にも影響を及ぼす可能性があります。特に、歯周病(歯ぐきの炎症)が緑内障(視神経の病気)と関連するという研究結果が注目されています。アメリカ眼科学会(AAO)も、緑内障による視力低下を防ぐために、口腔ケアの重要性を公式に推奨しています。

1. 歯周病と緑内障とは?

  • 歯周病(Periodontitis)
    歯と歯ぐきの間に細菌が繁殖し、炎症を起こす病気。進行すると歯を支える骨が溶け、歯がぐらついたり抜けたりします。
  • 緑内障(Glaucoma)
    眼圧の上昇や血流障害などにより視神経が徐々に傷つき、視野が狭くなっていく病気。放置すると失明に至ることもあります。

2. なぜ歯周病が緑内障に影響するのか?

  1. 全身の慢性炎症
    歯周病で生じる炎症性物質が血流を介して全身に広がり、目の血管や視神経にも悪影響を及ぼす可能性があります。
  2. 細菌の直接的な作用
    歯周病の原因菌が産生するリポ多糖(LPS)が神経組織に届き、視神経細胞のダメージを促すことが、動物実験で示唆されています。
  3. 血管内皮機能の低下
    慢性的な炎症が血管内皮を傷つけ、視神経への血流不足を招くことで、緑内障の進行を助長する恐れがあります。

3. 大規模調査で明らかになったリスク

台湾の国民健康保険データ

  • 対象:20歳以上の歯周病患者194,090人と、同じ人数・年齢・性別で歯周病のない人194,090人
  • 期間:2000年から2013年まで最大13年間
  • 方法:台湾の国民健康保険データ

主な調査結果

  • 緑内障発症率は歯周病がある人:31.2人/1万年人、歯周病がない人:23.3人/1万年人
    この差は、歯周病の有無によって緑内障を発症する確率が明らかに異なることを示しています。
  • 歯周病患者は、歯周病でない人に比べて1.26倍高いリスク
  • 原発開放隅角緑内障(もっとも一般的なタイプ)は、 1.31倍高いリスク
  • 歯周病によるリスク上昇は、若年層ほど大きく現れました。
    20~49歳:1.34倍、50~64歳:1.20倍、65歳以上:1.24倍
  • 男女比は男性:1.33倍、女性:1.21倍
  • 合併症の有無による違い:他の病気(高血圧、糖尿病など)がないグループでは1.38倍、あるグループでは1.18倍

アメリカ医療従事者追跡研究(HPFS)

  • 対象:40,536名の男性医療従事者(主に歯科医師・薬剤師など)
  • 期間:1986年から2012年(最大26年間)
  • 方法:毎年のアンケートで「歯の喪失」「歯周病診断」「緑内障診断」を追跡

主な調査結果

  • 歯牙喪失:過去2年以内に歯を1本以上失った人は1.45倍のリスク
  • 歯周病診断:過去2年以内に「歯周病」と診断された人は、1.45倍のリスク
  • 歯牙喪失+歯周病:「歯牙喪失」かつ「歯周病診断」がある場合は、緑内障リスクが1.85倍
  • 正常眼圧緑内障への強い関連:眼圧22mmHg未満で発症したケースでは、リスク1.93倍とより顕著

→ これらの結果は、歯の健康状態の悪化が緑内障、とりわけ正常眼圧でも進行する緑内障リスクを高めることを示しています。

韓国国民健康栄養調査

  • 対象:3,681名(成人男女を無作為抽出)
  • 方法:口腔検査と眼科検査を同時に実施、「歯周病の有無」と「緑内障の有病率」を横断的に分析

主な調査結果

  • 緑内障患者の39.5%に歯周病あり
  • 緑内障非患者の22.2%に歯周病あり
    → 緑内障患者は、歯周病を伴う割合が約1.8倍高い
  • 40歳以上の男性で関連が特に強く、糖尿病合併例ではさらに相関が増大

→ この横断調査は、緑内障患者が健常者に比べて有意に高い割合で歯周病を併発している実態を示しています。

4. 研究から分かる高リスク群

歯周病は緑内障の独立したリスクファクターとして認識されつつあり、特に以下の群でリスクが高いことが示されています:

  • 40歳以上の中高年者
  • 男性
  • 糖尿病患者
  • 併存疾患のない健常者群(相対的により高いハザード比を示す)

5. 多職種連携の必要性

歯周病と緑内障の関連性は、歯科医師と眼科医の連携の重要性を示しています。歯周病患者には定期的な眼科検診の推奨が、緑内障患者には積極的な歯周病管理が必要です。

6. アメリカ眼科学会の推奨する口腔ケア

AAOの「緑内障による視力低下を防ぐための10のステップ」のなかで、以下のように口腔ケアを挙げています。

「口腔を清潔に保つ:歯周病が視神経障害と関連している可能性があるため、毎日歯を磨き、デンタルフロスを使用し、定期的に歯科を受診しましょう。」

7. 具体的な予防法

  • 毎日の丁寧な歯磨き(5分以上、1日2回以上)
  • デンタルフロスや歯間ブラシの併用
  • 6ヶ月に1回程度の歯科検診・専門的クリーニング
  • 喫煙・過度なストレス・不規則な生活習慣の改善

これらの一見シンプルな口腔ケアは、歯や歯ぐきの健康を守るだけでなく、目の健康にも貢献します。


参考文献

  1. 10 Things To Do Today To Prevent Vision Loss From Glaucoma
    (Reviewed By J. Kevin McKinney, MD; Published Feb. 06, 2024)
    「緑内障による視力低下を防ぐために今日からできる10のこと」
    https://www.aao.org/eye-health/tips-prevention/easy-steps-to-prevent-vision-loss-from-glaucoma
  2. Sun KT et al., “Periodontitis and the subsequent risk of glaucoma: results from the real-world practice”
    Scientific Reports 10, 17568 (2020).
    「歯周病とその後の緑内障リスク:実際の臨床データによる結果」
    https://www.nature.com/articles/s41598-020-74589-6
  3. Noh JH, Lee MY, Yoo C, et al.
    “Relationship Between Periodontitis and Open-Angle Glaucoma: The Korea National Health and Nutrition Examination Survey”
    Journal of Glaucoma. 2025 May 9. [Epub ahead of print]
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40341462/
  4. Pasquale LR, Kang JH, Manson JE, Willett WC, Rosner BA, Hankinson SE.
    “Prospective Study of Oral Health and Risk of Primary Open-Angle Glaucoma in Men: Data from the Health Professionals Follow-up Study”
    Ophthalmology. 2016 Nov;123(11):2318–2327.
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27554035/

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