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子どもの歯ぎしり、原因は母親の不安、過剰な砂糖、画面の見過ぎかも?

静まり返った夜、子どもの部屋から聞こえてくる「ギリ、ギリ…」という音。多くの親が、この歯ぎしりの音に心を痛め、心配になった経験があるのではないでしょうか。「歯がすり減ってしまうのでは?」「ストレスが原因?」など、様々な不安が頭をよぎるかもしれません。

子どもの歯ぎしりは非常によく見られる現象ですが、近年の科学的研究によって、私たちがこれまで信じてきた常識の多くが、実は正しくないことが明らかになってきました。この記事では、2023年に発表された学術論文の系統的レビューに基づき、子どもの睡眠時歯ぎしりに関する、保護者の皆さんにぜひ知っておいてほしい「5つの意外な真実」を分かりやすく解説していきます。

1. 歯の摩耗は、歯ぎしりの決定的な証拠ではない

まず驚くべきは、歯のすり減り(摩耗)が、子どもの睡眠時歯ぎしりの主要なサインではないという発見です。これまで、歯の摩耗は歯ぎしりの最も分かりやすい証拠だと考えられてきました。

しかし、今回のレビューで分析された研究によると、特に胃食道逆流症(GERD)の子どもを除外した調査では、歯ぎしりの頻度と歯の摩耗の重症度との間に相関関係は見られませんでした。

これがなぜ重要かというと、親や医療従事者は、歯の摩耗だけを歯ぎしりの診断基準とすることを考え直す必要があるからです。歯がすり減っている場合、歯ぎしり以外の原因、例えば胃食道逆流症(GERD)のような他の健康問題が隠れている可能性も考慮すべきだということを示唆しています。実際、胃酸が逆流すると、歯ぎしりによって唾液の分泌が促され、胃酸を中和しようとする体の防御反応の可能性があるのです。

2. それは「病気」ではなく、「サイン」である

科学的な理解の進展により、歯ぎしりは単なる「異常」や「病気」ではなく、身体的な活動、あるいはもっと重要な「何らかのサイン(症状)」であるという見方に変わってきています。多くの場合、歯ぎしりは一時的なもので、ポジティブなストレス状況下でコルチゾール値を下げるなど、むしろ良い結果につながる生理的な活動である可能性さえあります。

しかし、場合によっては、健康状態、生物心理社会的な要因、生活習慣、食生活などに関連する、根本的な問題の症状として現れることもあります。レビューでは、歯ぎしりが閉塞性睡眠時無呼吸症候群のような深刻な状態のサインである可能性も指摘されています。この視点の転換は非常に重要です。つまり、目標は単に歯ぎしりを止めることではなく、歯ぎしりが何を指し示しているのか、その根本原因を理解することにあるべきなのです。

3. スクリーンタイムと糖分の過剰摂取が関係している

レビューでは、子どもの睡眠時歯ぎしりと「スクリーンタイムの使いすぎと添加糖分の過剰摂取」という現代的な生活習慣との間に、正の相関関係があることが示されました。

この関連性の背景には、遺伝的な要因が考えられています。私たちの脳には、嬉しいことや楽しいことがあると「ご褒美」を感じる仕組みがあります。特定の遺伝子のタイプによっては、このご褒美の感じ方が、甘いものやゲームに対して特に強くなることがあります。そして、その同じ遺伝子が、歯ぎしりのしやすさにも関わっていると考えられているのです。

この発見は、歯ぎしりという身体的な問題を、多くの親がすでに懸念している現代的な生活習慣と直接結びつけるものです。スクリーンタイムや糖分の摂取を管理することが、子どもの歯ぎしりを考える上でも重要である新たな理由を示しています。

4. 呼吸の問題、特に睡眠時無呼吸との重大な関連

子どもの睡眠時歯ぎしりと、いびきや閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)といった呼吸障害との間には、重大な相関関係があることが分かっています。

上気道が狭いことなどが一因となり、睡眠中に呼吸が困難になると、身体が覚醒反応(アロウザル)を起こし、その一環として歯ぎしりが誘発されることがあります。

この点は極めて重要です。睡眠中の呼吸の問題によって引き起こされる質の悪い睡眠は、日中の学校での集中力の低下、イライラ、あるいは多動性といった形で現れることがあり、他の発達上の課題と間違われる可能性もあります。これにより、歯ぎしりは単なる歯の問題から、専門分野を超えた評価を必要とする深刻な状態の示すことになります。

歯科的なアプローチで考えると、上顎の成長が悪いことで上の歯の歯並びが悪い場合は、上顎の成長を促すことで歯並びの改善が見込めます。また、上顎骨に連なる鼻腔も広がることで、結果として睡眠障害が解消される可能性があります。

5. 母親の不安が、子どもの歯ぎしりのリスクを高める可能性がある

ある研究では、母親の不安レベルが高いことが、その子どもの睡眠時歯ぎしりのリスクを高めるという結果が示されました。

この背景として、母親は子どもと最も多くの時間を過ごすことが多く、その感情的な状態が子どもと相互に関連しうることが挙げられています。研究の議論では、家族の機能性や変化する子育てのスタイルといった、より広い文脈にも触れられています。

これは非常にデリケートであると同時に、重要な指摘です。家族という単位の中での深いつながりを浮き彫りにし、子どもの歯ぎしりに対応するためには、子ども本人だけでなく、家族全体の、特に主たる養育者の心の健康状態を評価し、サポートすることが含まれる可能性を示唆しています。

まとめ:歯ぎしりが伝えようとしているメッセージに耳を傾ける

子どもの睡眠時歯ぎしりは、単なる癖よりもはるかに複雑で、身体が何らかのメッセージを送っているサインとして捉えるべきです。歯の摩耗だけを見て心配するのではなく、その背後にある可能性を広く考えることが大切です。


参考文献

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