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AGA・薄毛と歯周病に関係は? 円形脱毛症・白髪を調べた研究

AGAでは若い男性で歯周病との相関、円形脱毛症では歯科治療後に髪が回復した症例が報告されています。奥歯を抜いたマウスに白髪が現れた実験もあります。口と髪の意外な接点を、AGA・円形脱毛症・白髪の研究から見てみましょう。

目次
  1. AGAと歯周病の相関は、25~44歳で見つかった
  2. 歯周病のある群では、円形脱毛症の発症が多かった
  3. 歯科治療後に、円形脱毛症の毛髪が回復した例
  4. 奥歯を抜いた若いマウスに、眉間の白髪が現れた
  5. 口と髪の接点を、4つの比べ方で調べる

AGAと歯周病の相関は、25~44歳で見つかった

2023年の研究では、25~65歳の男性385人を対象に、男性型脱毛症(AGA)の程度と歯周状態を年齢別に調べました。1

AGAは、生え際や頭頂部の薄毛が進む脱毛症です。研究では、25~34歳と35~44歳の群で、AGAと歯周病に統計的に有意な相関が見られました。一方、45~54歳と55~65歳の群では、有意な相関は確認されていません。1

若い年代で相関が見つかった点が、この研究の特徴です。公表されている抄録には、歯周病のある群とない群でAGAが何%だったかや、歯周病が重いほど薄毛も進んでいたかを示す数値は記されていません。1

研究者が注目しているのは、男性ホルモンの代謝や炎症です。口と頭髪を同じ人で調べ、共通する仕組みの候補を探っています。1

歯周病のある群では、円形脱毛症の発症が多かった

韓国の国民健康保険データを使った研究では、歯周病のある人とない人を追い、その後の円形脱毛症の発症を比べました2。

円形脱毛症は、毛を作る部分に免疫が関わって脱毛が起こる病気です。生え際や頭頂部の薄毛が進むAGAとは、別の病気として調べられています。1,3

2023年の国際学会で公表された抄録では、2002~2004年に歯周病と診断された人たちを2019年末まで追っています。調整後の解析でも、歯周病のある群は、ない群より円形脱毛症を発症するリスクが高いという結果でした。2

同じ時点の口と髪を調べたAGAの研究に対し、この調査では病気がその後に起きるかを追っています。どちらも口と髪を扱いながら、比べる時点が違います。

歯科治療後に、円形脱毛症の毛髪が回復した例

2026年には、歯の根の先に炎症があり、円形脱毛症もあった男性3人について、歯科治療後の経過が報告されました。3

この3人には、歯の神経が通る管を治療する根管治療や、原因となる歯の抜歯が行われました。その後、毛髪の回復が観察され、それぞれ3年、9か月、4か月追跡されています。著者は、円形脱毛症には自然に回復する経過があることも挙げています。3

2024年にも、円形脱毛症と歯周炎があった50歳の女性1人の症例が報告されました。歯周清掃、抜歯、根管再治療を行い、約2か月後に毛髪の回復が見られています。4

子どもの報告もあり、2026年には、頭髪が広く抜けていた5歳の女の子1人の経過が公表されました。5複数のむし歯や歯の感染があり、全身麻酔下で歯の神経の処置、被せ物、抜歯などを受けています。2か月後には、頭髪に加え、眉毛やまつ毛にも発毛が観察されました。以前受けていた皮膚科の薬物治療は、歯科治療の前に終了していました。5

口の中の炎症を治療した後の毛髪の変化が、大人と子どもの個々の経過として記録されています。どんな歯の病気があり、何を治療し、その後どう変わったか。症例報告は、その具体的な手がかりを伝えています。

奥歯を抜いた若いマウスに、眉間の白髪が現れた

2024年の実験では、若いマウスの上顎の第一臼歯を抜いた群と、抜かなかった群を3か月間比べました。6

結果は、奥歯を抜いた群で眉間の白髪が観察され、抜かなかった群では現れないというものでした。眉間の組織では、色素に関係する遺伝子の働きにも変化が見られています。6

噛むための奥歯と毛の色を、同じ実験で調べた発想には驚かされます。研究班は、歯を失って噛む刺激や神経からの入力が減る経路などに注目しています。歯の役割を「食べ物を細かくすること」から、体へどのような刺激を送るかに広げた研究です。6

口と髪の接点を、4つの比べ方で調べる

AGAでは同じ時点の口と髪、円形脱毛症では発症までの追跡や患者の治療後の経過、白髪では抜歯したマウスとしないマウスを調べています。

図1は、この記事で紹介した研究の比べ方を並べたものです。同じ「口と髪の研究」でも、実際に追っている変化は違います。

AGAは口と髪を同時に検査、円形脱毛症は発症まで追跡する研究と歯科治療後の症例、白髪はマウスの2群を比較
図1 AGA・円形脱毛症・白髪の研究で調べた対象と時間の流れ。各研究の方法と結果に基づく概念図です。

口の炎症と毛髪を結ぶ研究の面白さは、身近な悩みを別の角度から捉え直しているところにあります。AGAでは25~44歳の男性で歯周病との相関が見つかり、円形脱毛症では歯周病のある群で発症が多いという追跡結果と、歯科治療後に毛髪が回復した症例が報告されました。白髪では、奥歯を抜いた若いマウスの眉間に変化が現れています。人の口と髪を同時に見る、その後を長く追う、動物の実験で変化を比べる。こうした具体的な発見が、口と髪を結ぶ研究を広げています。

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参考文献

  1. Karasu YÖ, Orbak R, Kaşalı K, et al. Association between androgenetic alopecia and periodontitis. Journal of Periodontal Research. 2023;58(5):1105–1111. DOI: 10.1111/jre.13175
  2. Park J, Lee I, Nam K, et al. 537 Periodontitis may increase risk of alopecia areata: A nationwide population-based cohort study in Korea. Journal of Investigative Dermatology. 2023;143(5 Suppl):S92. 学会抄録. DOI: 10.1016/j.jid.2023.03.543
  3. Zuza A, Baysan A, Grcic K, et al. Case Reports of Alopecia Areata Associated With Apical Periodontitis. Case Reports in Dentistry. 2026;2026:9446964. DOI: 10.1155/crid/9446964
  4. Tsitou VM, Rallis D, Tsekova M, et al. Allopecia areata and periodontitis: a case report. Journal of IMAB. 2024;30(1):5425–5428. DOI: 10.5272/jimab.2024301.5425
  5. Abou Samra N, Aboujaoude S. Dental Rehabilitation of a Child Diagnosed With Alopecia Areata Totalis: A Case Report. Cureus. 2026;18(4):e106874. DOI: 10.7759/cureus.106874
  6. Furukawa M, Yokoi H, Wang J, et al. Premature gray hair development in the interbrow region owing to the loss of maxillary first molars in young mice. Genes to Cells. 2024;29(5):417–422. DOI: 10.1111/gtc.13107


執筆・監修 中村 瞬
かわせみデンタルクリニック 院長 / 歯学博士(歯科麻酔学)/ 日本歯科麻酔学会 認定医
医療記事を数多く執筆。TV取材多数
医学的根拠(エビデンス)に基づく、正確で分かりやすい情報を患者目線でお届けします。


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