OTC類似薬の追加負担制度とは?ロキソニンを例にわかりやすく解説【2027年3月施行】
2027年3月から、ロキソニンやアレグラなど約1,100品目の処方薬に追加の自己負担が発生します。改正健康保険法の成立を踏まえ、何が変わるのか、いくら増えるのか、懸念点までやさしく解説します。
目次
- はじめに
- OTC類似薬とは何か
- 何が変わるのか――新制度の仕組み
- 具体的にいくら負担が増えるのか――ロキソニンを例に
- 現役世代の社会保険料とどう関係するのか
- セルフメディケーションとの関係
- 対象となる主な薬
- 払わなくていい人はいるのか――配慮措置
- この制度への懸念点
- これまでの経緯
- いつから始まるのか――施行スケジュール
- 参考文献
1. はじめに
「病院で処方してもらっているロキソニンが、急に高くなるって本当?」と不安に感じている方も多いかもしれません。2026年5月29日、OTC類似薬への追加負担を盛り込んだ改正健康保険法などが参議院本会議で可決・成立しました。1,2 この改正により、2027年3月からは、市販薬とよく似た一部の処方薬について、これまでの自己負担に加えて追加の費用がかかる予定です。1,3
この記事では、OTC類似薬とは何か、何が変わるのか、ロキソニンではどのくらい負担が増えるのか、これまでの経緯、制度の懸念点まで、一般の方向けに整理して解説します。
2. OTC類似薬とは何か
OTC医薬品とは、処方箋なしで薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品のことです。4 OTC類似薬とは、その市販薬と成分や効能、投与経路などが似ている医療用医薬品を指します。3
たとえば、ロキソニンSのような市販の痛み止めと、病院で処方されるロキソニン錠は、同じロキソプロフェンを有効成分とする代表例です。3,5 市販薬は全額自己負担ですが、処方薬はこれまで保険が使えるため、自己負担は1〜3割で済んでいました。3
3. 何が変わるのか――新制度の仕組み
新制度では、OTC類似薬を完全に保険適用外にするのではなく、薬剤費の4分の1を「特別の料金」として追加で患者が支払う仕組みになります。1,2 残りの4分の3については、これまで通り保険が適用され、その部分に対して1〜3割負担がかかります。3
つまり、3割負担の方なら、これまでの3割負担に加えて、薬剤費の25%分をさらに負担する形です。5 この追加分は保険外扱いとなるため、消費税もかかります。3
4. 具体的にいくら負担が増えるのか――ロキソニンを例に
厚生労働省の資料では、解熱鎮痛薬の例として、5日分の患者負担が見直し前約45円から見直し後約72円になる試算が示されています。3 ただ、この数字だけでは実感しにくいため、薬剤費1,000円で考えると分かりやすくなります。
薬剤費1,000円のOTC類似薬を3割負担で処方してもらう場合、これまでは300円負担でした。改正後は、追加の特別料金250円に加え、残る750円の3割である225円を払うため、合計は約475円となり、ここに消費税が加わって約500円になります。3,5 つまり、自己負担はおおむね1.6〜1.7倍になる計算です。5
ロキソニンのような短期処方では1回ごとの差は大きく見えないかもしれませんが、花粉症薬や便秘薬などを継続的に使っている方では、年間の負担増を意識する必要があります。1,2
5. 現役世代の社会保険料とどう関係するのか
政府は、この制度の目的の一つを「現役世代を中心とする保険料負担の上昇抑制」と説明しています。1 処方薬に保険が使われると、患者が支払わない残りの費用は公的医療保険から支払われるため、その原資である社会保険料の負担増につながります。6
OTC類似薬に追加負担を設ければ、保険から出る金額が減り、市販薬への切り替えも進むと考えられています。その結果、加入者1人当たりの社会保険料を年間約400円減らせるという試算を厚生労働大臣が示しています。6
6. セルフメディケーションとの関係
今回の制度改正の背景には、セルフメディケーションの考え方があります。これは、軽い不調は自分で適切に対処し、医療機関は本当に必要なときに利用するという考え方です。7,8
日本では、一定のOTC医薬品を購入した場合に所得控除を受けられるセルフメディケーション税制も設けられています。9 OTC類似薬の追加負担制度は、「市販薬で対応できる症状はまず市販薬で」という流れを政策として強める動きと理解できます。7,9
7. 対象となる主な薬
対象は77成分、約1,100品目とされています。1,2 代表的なものとして、ロキソニンのような解熱鎮痛薬、アレグラのような花粉症薬、ヒルドイドのような保湿薬、酸化マグネシウム製剤、去痰薬などが挙げられます。1,2
日常的によく使われる薬が多く含まれるため、制度の影響を受ける人はかなり広いと考えられます。2
8. 払わなくていい人はいるのか――配慮措置
制度には配慮措置も設けられる予定です。子ども、高校生年代までの若年層、がん患者や難病患者など配慮が必要な人、低所得者、生活保護受給者、入院患者などについては追加負担の対象外とする方向が示されています。1,2
ただし、どこまでが対象になるのかという細かな判断基準は、今後さらに整理される見込みです。1
9. この制度への懸念点
この法案には、いくつかの懸念もあります。まず、追加負担を避けるために受診を控える人が出ると、症状が悪化してから受診することになり、結果的に重症化を招くおそれがあります。1
また、市販薬で症状を一時的に抑えることで、本来は医師の診察が必要な病気の発見が遅れる可能性もあります。さらに、いったん制度が始まると、将来的に対象薬が広がったり、負担割合が引き上げられたりするのではないかという不安もあります。1,2
一方で政府は、配慮措置や附帯決議を通じて、必要な医療へのアクセスを損なわないようにすると説明しています。1,2 ただ、制度開始後に本当に問題が起きないかどうかは、今後の運用を見ていく必要があります。
10. これまでの経緯
OTC類似薬の見直しは、以前から医療費抑制策の一つとして議論されてきました。2025年には骨太の方針の中でも保険給付の在り方の見直しが示され、同年末には自民党と日本維新の会が追加負担方式で合意しました。3,6
その後、2026年3月に法案が閣議決定され、4月に衆議院を通過し、5月29日に参議院本会議で可決・成立しました。1,2
11. いつから始まるのか――施行スケジュール
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年 | 保険給付見直しの議論が本格化3 |
| 2026年3月 | 改正法案を閣議決定6 |
| 2026年5月29日 | 参議院本会議で可決・成立1,2 |
| 2027年3月 | 制度開始予定1,3 |
法律はすでに成立しており、現在は制度開始に向けた詳細設計が進められている段階です。1,2
12. 参考文献
- 改正健康保険法など成立 「OTC類似薬」追加負担が柱(2026)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4fd50842a95a63166f7be562d95c226f5fb21cba - 健康保険法等の一部を改正する法律案
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221025.htm - OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について 厚労省(2025)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001599954.pdf - 一般用医薬品等(OTC医薬品)の在り方について 厚労省(2023)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001206970.pdf - 「OTC類似薬」価格いくら上がる? 身近な薬など1100品目で
https://www.kab.co.jp/news/article/16600692 - 保険料年400円減と試算 OTC類似薬の追加負担で(2026)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e71c9ab9574f82cd8630af703988d2ddee0f2917 - 第1回セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会 資料 厚労省(2024)
https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001369162.pdf - 第2回セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会 厚労省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57281.html - セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について 厚労省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
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