医師や歯科医師はなにで引退するか決めてるの?
医師と歯科医師はいつ引退する?退職を決める要因を調べました。
医師や歯科医師として働く皆さんは、いつか迎える退職時期について考えることがあるでしょう。実際のところ、医師と歯科医師の退職年齢や退職理由には、それぞれ特徴的な傾向があります。
この記事では、最新の研究データをもとに、医師と歯科医師の退職時期を決める要因と統計データを分かりやすく解説します。
【注:海外論文のデータを元にしているため、そのまま日本でも当てはまるものではありません。】
医師の退職事情:バーンアウトと経済的要因の狭間で
医師の退職年齢はいつ頃?
医師の退職年齢に関する研究によると、多くの医師が60~69歳で退職しています。興味深いことに、医師は「60歳で退職したい」と考えているものの、実際には約69歳まで働き続ける傾向があります。これは一般的な職業よりも3年ほど遅い退職となります。
具体的な統計を見ると:
| 指標 | 割合 |
|---|---|
| 60~65歳で退職する医師 | 約30% |
| 60歳未満で退職する医師 | 約12% |
| 65歳以降も働き続ける医師 | 約58% |
医師が早期退職を選ぶ理由
医師の早期退職には、以下のような深刻な理由があります:
身体的・精神的な限界
- 過度な業務負担による慢性的な疲労
- バーンアウト(燃え尽き症候群)
- 長時間労働によるストレス
職場環境への不満
- 官僚的なシステムへの嫌悪感
- 電子カルテシステムの煩雑さ
- 医療訴訟のリスクに対する不安
退職を遅らせる要因
一方で、医師の退職を遅らせる要因もあります:
経済的な事情
- 継続的な経済的義務(住宅ローン、教育ローンなど)
- 退職後の収入に対する不安
- 十分な退職資金の不足
職業的アイデンティティ
- 医師としての強い職業意識
- 患者への責任感
- 医療現場での役割への愛着
歯科医師の退職事情:身体的制約が大きな決定要因
歯科医師の退職年齢の特徴
歯科医師の退職パターンは医師とは異なる特徴を示しています。2023年のデータでは、歯科医師の平均退職年齢は約69歳となっており、医師とほぼ同様の年齢です。
しかし、退職時期の分布を見ると:
| 指標 | 割合 |
|---|---|
| 65歳未満で退職する歯科医師 | 21% |
| 75歳以上で退職する歯科医師 | 約20% |
| 平均キャリア年数 | 約41.8年 |
歯科医師特有の退職要因
歯科医師の退職には、職業の特性に関連した要因が強く影響します:
身体的な健康問題(55%)
- 筋骨格系障害(腰痛、首の痛み、肩こり)
- 長時間の同一姿勢による身体への負担
- 皮膚疾患や神経系疾患
精神的な健康問題(28%)
- 抑うつ症状
- 職業関連ストレス
- 燃え尽き症候群
職場環境の課題
- パートタイム勤務の選択肢不足
- 産業医や職場支援制度の利用機会不足
- 職場での孤立感
歯科医師の退職後の状況
注目すべきは、歯科医師の多くが退職後に健康状態の改善を報告していることです。研究によると:
- 退職後に健康状態が改善したと報告:57%
- 退職後により幸せになったと回答:56%
- 仕事に関連した健康問題だったと認識:90%
退職時期を適切に判断するために
退職計画のポイント
医師・歯科医師ともに、以下の要素を総合的に考慮することが重要です:
経済的準備
- 退職後30年間の生活費の25倍の貯蓄(4%ルール)
- 住宅ローンや教育ローンの完済
- 公的年金制度の活用
健康管理
- 定期的な健康チェック
- ストレス管理と休養の確保
- 職業性疾患の早期発見と対策
キャリア移行の準備
- 段階的な業務縮小の検討
- 教育・指導分野への移行
- 退職後の活動計画の策定
組織的なサポートの重要性
研究では、適切なサポートがあれば多くの医師・歯科医師が現役を続けられる可能性が指摘されています:
- 職業健康相談の活用(現在は28%しか利用していない)
- パートタイム勤務の選択肢拡大
- 退職準備プログラムの充実
- メンターシップ制度の導入
まとめ
医師と歯科医師の退職時期は、単純に年齢だけで決まるものではありません。身体的・精神的健康、経済状況、職場環境、そして個人の価値観などが複合的に影響します。
特に歯科医師では身体的負担が大きな要因となる一方、医師では業務負担とバーンアウトが主要な早期退職理由となっています。しかし両職種ともに、適切なサポートと計画的な準備により、より満足のいく退職時期を選択できる可能性があります。
重要なのは、早期からの退職計画と、必要に応じた専門的なサポートの活用です。自分の健康状態や価値観に基づいて、最適な退職時期を見極めることが、医療従事者としての充実したキャリアの完結につながるでしょう。
参考文献
- Silver, M. P., Hamilton, A., Biswas, A., & Warrick, N. I. (2016). A systematic review of physician retirement planning(医師の退職計画に関するシステマティックレビュー). Human Resources for Health, 14(1), 67. https://human-resources-health.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12960-016-0166-z
- Brown, J., Burke, F., Macdonald, E. et al. (2010). Dental practitioners and ill health retirement: causes, outcomes and re-employment(歯科医師の健康問題による退職:原因、結果、再就職). British Dental Journal, 209, E7. https://www.nature.com/articles/sj.bdj.2010.813
- American Dental Association Health Policy Institute. (2023). US Dentist Retirement and Career Span Trends(米国歯科医師の退職とキャリア期間の動向). https://www.ada.org/resources/research/health-policy-institute/dentist-workforce/dentist-retirement-trends
- American Medical Association. (2024). Early retirement? 5 factors physicians should evaluate(早期退職?医師が評価すべき5つの要因). https://www.ama-assn.org/practice-management/career-development/early-retirement-5-factors-physicians-should-evaluate
- Lam, K., Arnold, C. G., Savage, R. D., et al. (2020). Does Physician Retirement Affect Patients? A Systematic Review(医師の退職は患者に影響するか?システマティックレビュー). Journal of the American Geriatrics Society, 68(3), 641-649. https://agsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.16216
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