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歯科カウンセラーと治療を決める前に知っておきたい厚労省「美容医療に関する取扱い」のポイント

目次

  1. はじめに:カウンセラーと相談して治療を決める前に
  2. 厚労省通知は何を問題にしているのか
  3. なぜ歯科の自由診療(審美・インプラント・矯正)にも関係するのか
  4. 歯科で実際に起こりやすい危ないケース
  5. カウンセラー/TCと歯科医師の「安全な役割分担」
  6. こう言われたら注意したいフレーズ・安心できるフレーズ
  7. 患者さん向けQ&A
  8. 不安を感じたときにどう動けばよいか

1. はじめに:カウンセラーと相談して治療を決める前に

「カウンセラーさんは話しやすいし、先生より親身に聞いてくれるから、治療はその人と決めればいいかな」
そう感じている方ほど、今回の厚労省の通知は深く関係してきます。

厚生労働省は、「自由診療の美容医療」で、カウンセラーとの相談だけで治療を決め、後から医師がそのまま施術してトラブルになる事例が増えていることを受けて、「美容医療に関する取扱いについて」という通知を出しました。
この通知は、美容整形だけでなく、審美歯科やインプラント、矯正など、見た目に関わる歯科治療にも適用されると明記されています。

2. 厚労省通知は何を問題にしているのか

通知の出発点は、「無資格のカウンセラーが、診断や治療方針の決定など、本来医師が行うべき医行為をしてしまっている」という問題です。

通知では、次のようなポイントが整理されています。

  • 「医行為」とは、医師の医学的判断や技術が必要で、誤ると人体に危険を及ぼすおそれのある行為
  • 無資格者(医師・歯科医師・看護師などの免許を持たない人)が業として医行為を行うことは、医師法違反
  • 「診察で得た情報から治療方針を主体的に判断し、それを伝える行為」は「診断」であり、医行為に含まれる

そして、無資格のカウンセラーが次のようなことをするのは違法なおそれがある、と具体例を挙げています。

  • 患者の希望を聞いたうえで、具体的な治療方法を選び、提案・決定する
  • 料金説明の形式を取りながらも、実質的に医学的判断を伝えている
  • ビデオ通話、電話、メール、チャットで個別の医学的判断を行い、診断や処方をしている

つまり、「カウンセラーとだけ相談して治療を決め、医師がそれをなぞるだけ」という構図が、まさに通知が狙い撃ちにしている問題なのです。

3. なぜ歯科の自由診療(審美・インプラント・矯正)にも関係するのか

通知には、「本通知の記載は歯科口腔領域の医療にも適用される」とはっきり書かれています。
そのため、次のような歯科治療も、美容医療と同じルールのもとで考えなければなりません。

  • 審美補綴(セラミック・ジルコニア・メタルボンドなど)
  • インプラント治療
  • 成人矯正・小児矯正・マウスピース矯正
  • ホワイトニング、ガミースマイル治療、歯肉整形 など

歯科医院には、

  • トリートメントコーディネーター(TC)
  • カウンセラー
  • コンシェルジュ
    といった肩書きのスタッフがいることがあります。多くの場合、これらの方は法律上「無資格者」にあたり、通知における「いわゆるカウンセラー」と同じ扱いになります。

つまり、

  • 診断
  • 治療方針の決定
  • 医学的リスクの評価
  • 具体的な治療方法の選択と提案
    といった「医行為・診断」は歯科医師だけの仕事であり、TCやカウンセラーがここに踏み込むと医師法違反の問題が生じうる、ということです。

4. 歯科で実際に起こりやすい危ないケース

4-1. セラミック治療でのケース

前歯の見た目が気になる患者さんが相談に来て、歯科医師が軽く診察した後、こう言ったとします。

  • 「治療法はいくつかありますが、詳しいことはカウンセラーと相談してください」

その後、個室でカウンセラーがこう話します。

  • 「あなたの歯の形や噛み合わせだと、一番高いフルジルコニアが絶対おすすめです」
  • 「安いクラウンだとすぐダメになります。実質このプラン一択ですね」
  • 「先生もそういう前提で考えていますから、ここで決めちゃいましょう」

患者さんの口の中の状態を踏まえ、「どの材料・どの術式が適切か」を決めるのは、本来は歯科医師の医学的判断です。
無資格のカウンセラーがそれを行い、治療内容を決めるのは、通知が示す「患者の希望を聞いたうえで具体的な治療方法を選択・提案・決定する行為」にあたり、医行為として問題視される領域です。

4-2. インプラント相談でのケース

インプラント希望の患者に対し、歯科医師が「ブリッジ」「部分入れ歯」「インプラント」の3つだけ簡単に説明し、「詳しくはカウンセラーと決めて」と退室。

カウンセラーはこう続けます。

  • 「入れ歯やブリッジはやめた方がいいです。この年齢ならインプラント一択です」
  • 「骨の状態も大丈夫そうなので、3本まとめてこのプランでいきましょう」
  • 「○○社の高額プランの方が長持ちしますし、将来のことを考えるとこれが最善です」

ここでは、

  • 骨量や全身状態の評価
  • 何本入れるべきか
  • どのシステムが医学的に妥当か
    といった高度な医療判断が、事実上カウンセラーの発言によって決まってしまっています。
    通知は、無資格者によるこうした医療判断・治療方針決定行為を、医師法違反の可能性があるものとして挙げています。

4-3. マウスピース矯正のオンライン相談

SNS広告を見た患者が、LINE相談からマウスピース矯正の無料カウンセリングを申し込みます。事前に歯並びの写真を送り、当日はほぼカウンセラーのみが対応。

  • 「この程度のガタつきならマウスピースで十分です」
  • 「抜歯は不要なケースなので、軽いコースでいけます」
  • 「先生の診察は最終チェックだけなので、今日ここでプランと金額を決めましょう」

写真やチャットだけで、「マウスピースで足りる/抜歯はいらない」と判断するのは、本来は歯科医師による診断が必要な行為です。
通知は、メール・チャットのみで診断・処方を行うことは「医師法違反となるおそれのある行為」と明記しており、こうしたオンライン完結型の決め方には大きなリスクがあります。

5. カウンセラー/TCと歯科医師の「安全な役割分担」

通知の趣旨に沿って、安全にカウンセラーやTCを活用するには、「できること」と「やってはいけないこと」をきちんと分ける必要があります。

歯科医師が必ず行うべきこと

  • 診察(問診・視診・必要な検査)
  • 診断(今どういう病気・問題があるのか)
  • 医学的に妥当な治療選択肢の提示
  • 各選択肢のメリット・デメリット・リスクの説明
  • その患者にとって妥当と思われる方針の提案
  • 最終的な治療方針の確認(インフォームド・コンセント)

これらはすべて「医行為」「診断」に含まれ、歯科医師の専権業務です。

カウンセラー/TCが担える範囲

  • 歯科医師が説明した内容を、わかりやすく言い換えて補足する
  • 模型や写真、パンフレットを使い、患者さんの理解を助ける
  • 通院回数・期間・スケジュールの相談に乗る
  • 総額・分割払い・ローンなど、支払い方法の説明
  • 患者の不安や疑問を聞き取り、必要に応じて歯科医師に確認する

ポイントは、

  • 「どの治療が医学的に適切か」をカウンセラーが決めない
  • 口の中の状態を前提にした専門的判断(抜歯の要否、術式の選択など)をしない
    ことです。

6. こう言われたら注意したいフレーズ・安心できるフレーズ

注意したいフレーズ例

  • 「先生は忙しいので、治療内容は私と決めちゃいましょう」
  • 「あなたの場合、この治療法一択です」
  • 「先生は色々と言いましたが、実際にはこのプランが一番いいですよ」
  • 「安い方法だと将来やり直しになりますよ?ほとんどの方が一番高いプランです」
  • 「この治療はデメリットはほとんどありません」
  • 「LINEと写真だけで治療法と金額まで決められます」

これらは、通知が問題視する

  • 無資格者の医行為・診断
  • 誇大・虚偽に近い説明
  • メール・チャットのみの診療
    に重なりやすいサインです。

安心材料になりやすいフレーズ例

  • 「診断と治療方針は、必ず先生から直接お話しします」
  • 「私は先生の説明を、わかりやすくお伝えする役割です」
  • 「この点は医学的な判断が必要なので、先生に確認してきますね」
  • 「不安なことは、遠慮なく先生に直接聞いてください」

こうした言葉が自然に出る医院は、少なくとも通知の趣旨に沿って「医師の責任」と「カウンセラーの役割」を分けようとしていると考えられます。

7. 患者さん向けQ&A

Q1. カウンセラーと話すこと自体は悪いですか?

A. いいえ、カウンセラーやTCと話すこと自体は悪いことではありません。
治療内容をかみ砕いて説明してくれたり、費用や通院スケジュールを一緒に考えてくれる存在は心強い面もあります。
問題になるのは、「どの治療が医学的に適切か」といった医師の仕事まで一手に引き受けてしまう場合です。

Q2. 「先生は忙しいので、治療のことは私と決めてください」と言われました。

A. 「診断と治療方針については、先生から直接説明を受けたいです」と、はっきり伝えて構いません。
それでも医師との面談が設けられない場合、その医院の体制自体が通知の趣旨に反している可能性があります。
通知では、患者がカウンセラーとだけ相談して決めた治療を医師がそのまま実施している事例が問題視されています。

Q3. カウンセラーに「あなたにはこの治療が一番合っています」と言われました。信じていい?

A. その一言だけを根拠に決めてしまうのは避けた方が安全です。
「なぜその治療が自分に合っているのか」を、歯科医師本人の口から聞けるかどうかが大事です。
通知は、無資格者が具体的治療方法を選び提案・決定する行為を、医師法違反となるおそれのある医行為として位置づけています。

Q4. 先にカウンセラーとコースと金額を決めて、後から先生に診てもらうのはOK?

A. 費用の目安を知る程度であれば良い面もありますが、「治療内容そのもの」まで決めてしまうのは望ましくありません。
本来は、歯科医師の診察と説明を受けたうえで、「どの治療を受けるか」を決めるのが自然な順序です。
通知でも、診察を行わずに治療をする「無診察治療」が問題視されています。

Q5. LINEやメールだけで、治療法まで決めても大丈夫?

A. 一般的な説明や相談なら便利な手段ですが、チャットやメールだけで治療内容まで決めるのは危険です。
通知は、文字やチャットだけで診療を完結させることは、医師法違反となるおそれがあるとしています。
必ず、歯科医師による診察(対面または適切なオンライン診療)を受けてから、治療を決めましょう。

Q6. 「絶対安全」「必ずきれいになる」と強く勧められました。本当ですか?

A. 医療に「絶対」「必ず」はほとんどありません。
通知でも、「絶対に安全」「必ず綺麗になる」といった表現は、虚偽広告として問題になる可能性があるとされています。
リスクや限界の説明が少ないと感じたら、納得できるまで歯科医師本人に質問しましょう。

Q7. 不安なときはどこに相談すればいい?

A. まずは、治療を受けようとしている医院で、歯科医師本人に率直に聞いてみてください。
それでも不安が強い場合は、

  • 別の歯科医院でセカンドオピニオン(保険外の自費診療になります)を受ける
  • 地域の保健所に、「カウンセラーとだけ話して治療を決めさせられた」状況を相談する
  • 契約やお金の問題なら、消費生活センターに相談する
    など、通知でも連携先として挙げられている窓口を利用できます。

8. 不安を感じたときにどう動けばよいか

まとめると、患者さんに意識してほしいのは次の3点です。

  1. 「誰が治療を決めているのか」を意識する
     ・歯科医師が診断・治療方針を主導しているか。
     ・カウンセラーが事実上の決定権を握っていないか。
  2. 「説明の質」に注目する
     ・メリットだけでなく、リスク・デメリットも説明しているか。
     ・他の選択肢(もっと安い・負担の少ない方法)についても触れているか。
  3. おかしいと感じたら「一度立ち止まる」
     ・その場で契約を急がず、家族に相談したり、別の医院でも話を聞く。
     ・必要に応じて、公的な相談窓口(保健所・消費生活センター)も活用する。

船橋の かわせみデンタルクリニック では皆様に分かりやすい説明を心がけています。なにか気になることがありましたらセカンドオピニオンなどお気軽にご相談ください。

参考文献

  1. Handling of Cosmetic Medical Care (Notification by the Director-General of the Health Policy Bureau, MHLW) (2025)
    美容医療に関する取扱いについて(厚生労働省医政局長通知)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65283.html


かわせみデンタルクリニック

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平日 9:00 ~ 13:00 14:30 ~ 18:00
土曜 9:00 ~ 13:00 14:00 ~ 17:00
(休診:日曜・月曜・祝日)

当院は、初診時にしっかりと検査を行い、歯周病虫歯根管治療から矯正歯科・小児矯正まで、丁寧にご説明のうえで治療を進めています。
治療後も再発予防に努め、安心して通える歯科医院をめざしています。