コラム|船橋の歯医者|かわせみデンタルクリニック

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[寄稿記事] 小児の食べる機能の発達について

 摂食・嚥下など口腔機能の専門である山本先生に記事を書いて頂きました。


のみこみサポートオフィス こめる

歯科医師 山本昌直先生

 奥歯で噛んで食べたり、箸を使って食べたりなどの食べる機能は、生まれてきてすぐにできることではありません。

 離乳食のドロドロした形のものから、少しずつ形のあるものが食べられるようになり、スプーンや箸を使って自分で食べられるようになります。(基本的機能獲得)

 また、手で食べ物を口へ運んだり、スプーンを使ったりすることができるようになっても、最初は動きがぎこちなかったり、上手に食具を使えません。繰り返し動作を行うことで、少しずつ上手な動きができるようになっていきます。(習熟)

小児の摂食機能の発達は、8段階で表すことができます。

①経口摂取準備期 ②嚥下機能獲得期 ③捕食機能獲得期 ④押しつぶし機能獲得期 ⑤すりつぶし機能獲得期 ⑥自食準備期 ⑦手づかみ食べ機能獲得期 ⑧食具・食器食べ機能獲得期

①〜⑤は口の動き、⑥〜⑧は手の動きの発達です。

①経口摂取準備期

 この時期は、指しゃぶりや玩具舐めなどがみられます。指などを口へもっていき、口にモノが当たったり入ったりする感覚を学んでいく時期です。

口から食べる予行演習をしていると言ってもよいかと思います。

②嚥下機能獲得期

 この時期には、口を閉じて嚥下することが可能になってきます。特徴的な動きとしては、嚥下時に下唇を内側に巻き込むような動きが認められます。

初期食など、ペースト状の食べ物を食べられる機能を獲得していきます。

③捕食機能獲得期

 この時期は、「捕食」という、口唇で食べ物を口の中に取り込む動きができるようになります。自分の意思でスプーンに乗った食べ物などを口へ取り込めるようになります。

④押しつぶし機能獲得期

 この時期では、豆腐などの柔らかい食べ物を、舌と口蓋(上あご)で押しつぶすことが可能になります。特徴的な口の動きとしては、押しつぶしのときに左右の口角が同時に水平に引かれるような動きが認められます。舌が上下運動することができるようになります。 このときに食べられるものは、あくまで舌と口蓋で押しつぶすことのできるものです。これよりも固いものは口の中で処理できず、溜め込んでしまったり、吐き出したりしてしまいますので、注意が必要です。

⑤すりつぶし機能獲得期

 この時期では、臼歯が生えてくるあたりの歯茎に食べ物を運び、上下の歯茎で潰すことが可能になってきます。特徴的な口の動きとしては、食塊を処理している側の口角が引かれ、口唇の非対称な動きが認められます。固さとしては、指で押しつぶせるくらいのものが食べられるようになります。

以上のように口の動きが発達していき、ペースト状のものから少しずつ形のある食べ物を口の中で処理することが可能になっていきます。

次は手の動きです。

⑥自食準備期

 手づかみ遊びや歯がため、指しゃぶりなどの動きが認められ、モノを掴んだり、口元へ運んだりする動きが認められはじめます。

⑦手づかみ食べ機能獲得期

 この時期には、食べ物を手で掴んだり、つまんだりして口に運ぶことができるようになります。最初は顔で食べ物を迎えにいくようにして口に運びますが、だんだんと顔の正面で食べ物を食べることができるようになります。

⑧食具・食器食べ機能獲得期

 この時期には、スプーンなどの食具を使って食べ物を食べることができるようになります。手づかみ食べで獲得した手と口の協調運動を基礎として、道具を使った食べ方を学んでいきます。

上記のような食べる機能の発達の過程をたどり、普段我々が行うように上手に食事ができるようになります。

※②④⑤の画像は 授乳・離乳の支援ガイド(2019改訂版)(厚生労働省)より引用しました。

授乳や離乳について|こども家庭庁 にも同ガイドラインが掲載されています。

山本昌直
 歯科医師・医学博士
 老年歯科医学会認定医、摂食機能療法専門歯科医師
 障害者歯科学会認定医
 摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
 東京歯科大学非常勤講師