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乳歯がぐらぐら・永久歯が内側に生えたら?生え替わりの時期と対応

生え替わりでぐらついている乳歯は、根が短くなり、自然に抜ける途中です。 舌や指で動かす行動も家庭向け案内に紹介されています。1 抜くかどうかは歯のゆるみ方や本人の痛み、永久歯の位置を見て考えます。

目次
  1. ぐらつく乳歯と触る・抜く判断
  2. 永久歯が生え始める時期
  3. 内側に出る永久歯と残る乳歯
  4. 次に生える永久歯がない場合

ぐらつく乳歯と触る・抜く判断

生え替わりでゆるんだ乳歯は自然に抜けますが、抜くかどうかは歯の状態と本人の希望を見て考えます。1

乳歯を舌で押したり、指で動かしたりしている姿を見ると、「永久歯に影響しないだろうか」と気になるかもしれません。米国小児科学会の家庭向け案内にも、子どもが舌や指でぐらついた乳歯を動かす行動が紹介されています。1

生え替わりが進むと、乳歯の根は短くなります。これを根の吸収と呼び、歯を支える部分が減るためにぐらつき、やがて抜けるという順序です。1 米国小児科学会が保護者向けに紹介する抜き方は、すでにゆるんだ歯を子どもが抜いてほしいと希望するときが対象です。自然には十分ゆるまない乳歯では、歯科医が抜歯を提案する場合もあります。1

その間に、食事中に歯や歯ぐきが痛む、歯が歯ぐきに当たる感じがして気になる、舌に傷や口内炎があるなど、本人がつらい状態なら診察を受けるのが良いでしょう。歯科医院では、歯のぐらつきや傷の場所を診たうえで、経過を見られるか、乳歯を抜くほうがよいかを検討します。

なお、転倒や打撲で歯が大きく動いたり、位置がずれたりした場合は外傷です。国際歯科外傷学会のガイドラインは、乳歯や歯を支える骨の外傷と、後から生える永久歯の形や生え方への影響を説明しています。自然な生え替わりとは分けて、速やかに歯科医院へ連絡・受診してください。2

永久歯が生え始める時期

永久歯が生え始める時期には、歯の種類と上あご・下あごごとの目安があります。3

乳歯が抜けて永久歯が生える時期は、歯ごとに異なります。永久歯が生え始める時期は、歯の種類と上あご・下あごによっても変わります。

次の図と表は、日本小児歯科学会が2015〜2016年に行い、2019年に公表した全国調査による永久歯が生え始める時期を示しています。3 表の幅は平均を中心としたばらつき(平均±1標準偏差)です。これより早く生える子も、遅く生える子もいます。表の範囲から外れていても、それだけで異常とは判断できません。3

中切歯は真ん中の前歯、側切歯はその隣、犬歯はその外側の歯です。第一・第二小臼歯は犬歯の奥にある2本の歯で、乳歯の奥歯と生え替わります。第一・第二大臼歯はさらに奥へ加わる永久歯です。4

日本人永久歯の標準萌出時期を示す表10の元画像
図1.日本人永久歯の標準萌出時期。出典:日本小児歯科学会(2019年公表)、原著の表10(p.369)。3

図1のデータを歯の種類ごとに見やすく整理したものが、以下の表です。

表1.上あごの永久歯が生え始める時期(平均±1標準偏差)

歯の名前男児女児
中切歯6歳6か月〜7歳10か月6歳3か月〜7歳7か月
側切歯7歳6か月〜9歳2か月7歳2か月〜8歳8か月
犬歯9歳10か月〜12歳1か月9歳2か月〜11歳4か月
第一小臼歯9歳1か月〜11歳7か月8歳11か月〜11歳0か月
第二小臼歯10歳3か月〜13歳2か月10歳1か月〜12歳11か月
第一大臼歯5歳11か月〜8歳7か月5歳10か月〜8歳4か月
第二大臼歯12歳1か月〜14歳5か月11歳9か月〜14歳3か月

図1と同じ出典3をもとに作成しました。

表2.下あごの永久歯が生え始める時期(平均±1標準偏差)

歯の名前男児女児
中切歯5歳6か月〜7歳0か月5歳5か月〜6歳7か月
側切歯6歳3か月〜8歳3か月6歳3か月〜7歳8か月
犬歯9歳2か月〜11歳3か月8歳8か月〜10歳5か月
第一小臼歯9歳5か月〜11歳6か月9歳1か月〜11歳1か月
第二小臼歯10歳4か月〜13歳0か月10歳2か月〜13歳1か月
第一大臼歯5歳10か月〜7歳6か月5歳6か月〜7歳0か月
第二大臼歯11歳3か月〜13歳10か月11歳2か月〜13歳10か月

図1と同じ出典3をもとに作成しました。

表を見ると、真ん中の前歯が生える頃には、奥に第一大臼歯も加わり始めます。乳歯列のいちばん後ろにある第二乳臼歯の後継歯は第二小臼歯です。4

乳歯にも生え始める時期の目安があります。下の真ん中の乳歯が最初に生え始める時期は、男児で生後5〜9か月、女児で6〜9か月が目安です。5

過去の全国調査との比較では、永久歯の真ん中と隣の前歯には大きな変化がなく、小臼歯など奥歯の一部は遅く生える傾向でした。3 一方、乳歯は一部で早く生え始めています。5 この比較は、永久歯と乳歯の生え始めが、全体として一律に遅くなったことを示す結果ではありません。

内側に出る永久歯と残る乳歯

永久歯が出ても乳歯が残る場合は、乳歯の動きと永久歯の位置を歯科で診る必要があります。6

乳歯が抜ける前に永久歯が内側から顔を出すと、歯が前後に2本並んで見えます。日本小児歯科学会は、乳歯の根がうまく吸収されないことを、乳歯が残る理由の一つに挙げています。早めの受診を勧め、乳歯を早めに抜くことで歯並びの乱れを防げる場合もあると説明しています。6

表の年齢だけでは、その乳歯を抜くかどうかは決まりません。歯科医師は乳歯がどの程度ぐらつくか、永久歯がどこに出ているかを診て、経過観察か抜歯かを判断します。永久歯の本数や位置を画像で調べる必要があるかどうかも、診察所見やリスクを踏まえて検討します。7 受診時には、歯が見え始めた時期と、痛みなど本人が困っていることを伝えてください。

次に生える永久歯がない場合

乳歯が長く残るときには、次に生える永久歯が生まれつき作られていない状態(先天性欠如)も考えます。7

永久歯がまだ見えない場合は、時期の個人差に加え、生えるのを待っている歯があるのかどうかが、その後の見通しに関わります。

日本小児歯科学会学術委員会が2010年に公表した調査の対象は、7大学の小児歯科と協力施設を受診した人です。X線撮影時に7歳以上だった15,544人のうち、第三大臼歯を除く永久歯の先天性欠如は1,568人(10.09%)でした。8 対象は歯科を受診して画像検査を受けた人なので、日本の子ども全体の割合としては扱えません。

同調査で欠如が最も多かったのは下顎(下あご)第二小臼歯で、下顎側切歯、上顎(上あご)第二小臼歯、上顎側切歯が続きました。8 第二小臼歯が第二乳臼歯の後継歯であることからも、乳歯の残り方だけでなく、次に生える永久歯の有無を見る意味が分かります。

生え替わりでぐらつく乳歯は自然に抜ける途中にあります。抜くかどうかは、歯のゆるみ方と本人の希望、永久歯の位置を見て考えます。痛みや傷が本人の負担になっている、永久歯が内側に出ても乳歯が残る、次の歯が見えないまま乳歯が残るときは、歯の状態に応じて経過観察や処置を選びます。

かわせみデンタルクリニックでは、お子さんの歯の生え替わりに関するご相談も受け付けています。初診の方は初診の流れをご覧ください。

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参考文献

  1. American Academy of Pediatrics. “When Children Begin to Lose their Baby Teeth.” HealthyChildren.org.
  2. Day P, Flores MT, O'Connell A, et al. International Association of Dental Traumatology guidelines for the management of traumatic dental injuries: 3. Injuries in the primary dentition. *Dental Traumatology*. 2020;36(4):343–359. doi:10.1111/edt.12576.
  3. 日本小児歯科学会・有田憲司ほか「日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究II その2.永久歯について」『小児歯科学雑誌』2019;57(3):363–373. 表10(p.369). doi:10.11411/jspd.57.3_363.
  4. 日本歯科医師会「歯とお口の発生と育ち方」
  5. 日本小児歯科学会・有田憲司ほか「日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究II その1.乳歯について」『小児歯科学雑誌』2019;57(1):45–53. 表8(p.50). doi:10.11411/jspd.57.1_45.
  6. 日本小児歯科学会「小学生低学年」
  7. American Academy of Pediatric Dentistry. Management of the developing dentition and occlusion in pediatric dentistry. *The Reference Manual of Pediatric Dentistry*. Chicago, IL: American Academy of Pediatric Dentistry; 2025:497–515.
  8. 日本小児歯科学会学術委員会・山﨑要一ほか「日本人小児の永久歯先天性欠如に関する疫学調査」『小児歯科学雑誌』2010;48(1):29–39. doi:10.11411/jspd.48.1_29.


執筆・監修 中村 瞬
かわせみデンタルクリニック 院長 / 歯学博士(歯科麻酔学)/ 日本歯科麻酔科学会 認定医
医療記事を数多く執筆。TV取材多数
医学的根拠(エビデンス)に基づく、正確で分かりやすい情報を患者目線でお届けします。


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