なぜ市販の痛み止めにカフェインが入っているのか?
最終更新日:2025/12/9
カフェインは「痛み止めのブースター」
市販薬の説明書には「無水カフェイン(鎮痛補助成分)」と書かれていることが多く、主役ではなく“ブースター”として配合されています。
頭痛などの痛み治療の研究では、アセトアミノフェンやアスピリン・イブプロフェンなどに少量のカフェインを加えることで、同じ成分のみの場合より痛みの取れ方が良くなる、効き始めが早くなるといった結果が多数報告されています。
この「+カフェイン」の効果は、一般的に鎮痛効果を1〜4割程度高める“増強作用”と表現されており、海外でも頭痛薬の標準的な処方の一つとして扱われています。
どうしてカフェインで痛みが和らぐのか
カフェインは、もともと眠気覚ましとして知られる成分ですが、その正体は「アデノシン」という物質の働きを邪魔することで、脳の神経の活動を変化させる薬理作用を持つ物質です。
アデノシンは神経を落ち着かせるだけでなく、血管を広げたり、痛みの伝わり方にも関わっていると考えられており、カフェインがアデノシン受容体をブロックすることで、頭痛の一部(特に血管の拡張が関わるタイプ)を和らげるとされています。
また、カフェインは他の鎮痛成分の吸収や中枢への到達を助けることで、薬全体の「効き目の立ち上がり」を良くしている可能性も指摘されています。
「頭がすっきりする」も狙った効果
痛み止めにカフェインを入れる理由の一つは、「痛み+だるさ」にまとめて対応する狙いです。
カフェインは少量であれば、眠気を軽く抑えたり、注意力を高めたりする作用があり、発熱や頭痛でぼーっとしているときに“スイッチを少し入れてくれる”ような作用が期待されています。
そのため、一部の解熱鎮痛薬や総合感冒薬では「無水カフェインを配合し、頭痛をやわらげる/だるさを軽減」といった説明がなされています。
眠くなる抗ヒスタミン薬をあえて入れず、カフェインを補助的に入れることで、「仕事中や運転のときにも使いやすい頭痛薬」として設計している製品もあります。
ただし「飲み過ぎ・カフェイン過多」には注意
カフェインが“ブースター”として有用である一方で、取り過ぎると不安感、動悸、不眠、めまい、吐き気などの不調を招くことが、公的機関の資料でも繰り返し注意喚起されています。
エナジードリンク、コーヒー、緑茶、栄養ドリンク、風邪薬・眠気止め・酔い止め・頭痛薬など、さまざまな食品・医薬品にカフェインが入っているため、「全部合わせるとかなりの量になっていた」というケースも珍しくありません。
食品安全委員会などは、健康な成人では一日あたりおおよそ400 mg程度までなら健康リスクは高くないとする目安を示す一方で、妊婦・授乳中の方や子どもではより少ない量でも影響に注意が必要としています。
そのため、痛み止めを飲むときは「今ほかにカフェインをどれくらい取っているか」を意識し、用法・用量を守りつつ、長期連用にならないようにすることが大切です。
Q&A
Q1. 市販の鎮痛薬にはどれくらいカフェインが入っているの?
代表的な製品の「成人1回量(通常2錠)」あたりの無水カフェイン量は、次のようなイメージです。
- イブクイック頭痛薬DX:80 mg(2錠中)
- イブA錠:80 mg(2錠中)
- バファリンプレミアム:80 mg(2錠中)
- バファリンルナi:80 mg(2錠中)
- バファリンプレミアムDXクイック+:50 mg(2錠中)
- 新セデス錠:40 mg(2錠中)
- ナロンエースT:50 mg(2錠中)
一般的なドリップコーヒー1杯(約150 ml)には、約90 mg前後のカフェインが含まれるとされます。
そのため、「カフェイン入り頭痛薬1回分 ≒ コーヒー約0.5〜1杯分のカフェイン量」と考えるとイメージしやすいです。
Q2. コーヒーと一緒に飲んでも大丈夫?
健康な成人であれば、1日の総カフェイン摂取量が400 mg程度までなら、健康リスクは高くないとされています。
ただし、頭痛薬1回分(40〜80 mg)に加え、コーヒーやエナジードリンクを何杯も飲むと、知らないうちに上限に近づく可能性があります。
- 頭痛薬1回分+コーヒー1杯:合計およそ130〜170 mg
- これを1日に数回繰り返すと、400 mg目安を超えることもあり得ます。
動悸、不眠、不安感などが出やすい人、妊娠中・授乳中の方、カフェイン感受性が高い方は、コーヒー・エナジードリンクの量を控える、あるいはカフェインを含まない鎮痛薬を選ぶことも選択肢になります。
Q3. カフェイン入りとなし、どちらを選べばいい?
カフェイン入り鎮痛薬は、頭痛(特に緊張型頭痛・片頭痛の一部)で「効き目を少し強めたい・早めたい」ときに用いられる処方です。
一方で、以下のような場合は「カフェインなし」の製剤(アセトアミノフェン単剤など)を選ぶ方が無難です。
- カフェインを普段からたくさん摂っている人
- 夜間に服用する(眠れなくなりそう)
- 妊娠中・授乳中、子ども
- 不眠・不安・動悸が出やすい人
自分の生活スタイル(カフェイン摂取量・服用時間帯)と体質を踏まえて、「ブースターとしてのカフェインが欲しいか」「あえて入っていない方が安心か」を選ぶイメージです。
Q4. カフェイン入りの鎮痛薬を続けて飲むと依存や頭痛が悪化することはある?
カフェインを毎日多く摂取していると、急に減らしたときに「カフェイン禁断頭痛(離脱頭痛)」が生じることが知られています。
さらに、鎮痛薬そのものを頻繁に使用すると「薬物乱用頭痛(薬剤使用過多による頭痛)」のリスクも指摘されており、特にカフェイン入り頭痛薬を習慣的に使い続ける場合は注意が必要です。
- 目安として、頭痛薬は月10〜15日以上の使用が続くようなら、一度医師に相談した方がよいとする専門家の見解があります。
- 「飲まないと頭が痛くなる」「毎日なんとなく飲んでいる」と感じたら、自己判断で飲み続けずに、頭痛のタイプ評価も含め専門家に相談するのがおすすめです。
まとめ
- 多くの市販鎮痛薬には、1回量あたりカフェイン40〜80 mg前後が入っている
- これは、ドリップコーヒー約0.5〜1杯分のカフェインに相当する
- 「効きを少し強め、早くする」目的で入っているが、総カフェイン量の管理は必要
- コーヒー・エナドリ多飲、妊娠中・子ども、睡眠トラブルがある人は、カフェインなしの鎮痛薬も選択肢に
- 頭痛持ちで、カフェイン入り鎮痛薬やカフェイン飲料を「痛み対策」として頻繁に使っている人は要注意
こうした方は、「カフェイン入りの痛み止めを選ぶかどうか」「カフェインを含まないタイプの鎮痛薬(アセトアミノフェン単剤など)を常備しておくか」を、一度見直してみる価値があります。
参考文献(一般向け抄訳)
- 「頭痛に対するカフェイン:助けになるか害になるか? 簡潔なレビュー」
Caffeine for Headaches: Helpful or Harmful? A Brief Review of the Evidence
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10385675/pmc.ncbi.nlm.nih - 「頭痛患者の管理におけるカフェインの役割」
Caffeine in the management of patients with headache
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5655397/pmc.ncbi.nlm.nih - 「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.htmlmhlw - 「カフェインの過剰摂取について」農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.htmlmaff - 「食品中のカフェイン」食品安全委員会 ファクトシート
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdffsc - 「飲料のカフェイン含有量に関する調査」国民生活センター
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20211104_3.pdfkokusen - 「カフェインの摂り過ぎに注意しましょう」名古屋市
https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/eisei/1014927/1014928/1014971/1014974.htmlcity - 「市販の解熱鎮痛薬の選び方」厚生労働省
http://web.archive.org/web/20251205190627/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00404.htmlmhlw
関連記事|船橋の歯医者|かわせみデンタルクリニック
この記事の監修者
中村 瞬
かわせみデンタルクリニック 院長 / 歯学博士(歯科麻酔学)/ 日本歯科麻酔科学会 認定医
医療記事をほぼ毎日更新中・TV取材多数
医学的根拠(エビデンス)に基づいた正確で分かりやすい情報を患者目線でお届けしています。
かわせみデンタルクリニック
所在地:〒273-0005 千葉県船橋市本町6丁目3−20 ベルヴィル船橋本町 1階B号室
電話番号:047-409-2988
JR・東武鉄道「船橋」駅 徒歩4分
平日 9:00 ~ 13:00 14:30 ~ 18:00
土曜 9:00 ~ 13:00 14:00 ~ 17:00
(休診:日曜・月曜・祝日)

当院は、初診時にしっかりと検査を行い、歯周病・虫歯・根管治療から矯正歯科・小児矯正まで、丁寧にご説明のうえで治療を進めています。
治療後も再発予防に努め、安心して通える歯科医院をめざしています。

