歯の激痛に「最強の組み合わせ」ロキソプロフェン×アセトアミノフェンで患部と脳をダブルブロック!
⚠️ 注意:痛みは体からの危険信号です
歯痛や抜歯後の痛みを感じたら、できるだけ早く歯科医院を受診することが最も大切です。痛みは、虫歯が進行している、感染が起きている、抜歯の創に問題があるなど、何らかの問題が起きていることを示す重要な信号です。
市販薬は、一時的に痛みを緩和するための手段であり、根本的な原因を解決するものではありません。特に以下のような症状がある場合は、急いで歯科医院に相談してください。
- 激しい痛みが続いている
- 腫れが出ている、または腫れが増している
- 冷たいものが触れると激しく痛む
- 抜歯後に痛みが増してきた
- 発熱がある
このような症状は、感染症や深刻な状態を示している可能性があります。
歯痛や抜歯後の痛みに使える一般的な市販薬
歯痛や抜歯後の痛みに対して、市販薬として使える鎮痛薬には、大きく2種類あります。
1. ロキソプロフェン、イブプロフェンなどのNSAID系
NSAIDは「非ステロイド性抗炎症薬」という難しい名前の薬です。要するに、炎症を抑える力が強い薬です。
- 利点:炎症による腫れや痛みを両方抑える効果が高い
- 使用場面:虫歯による痛み、抜歯後の腫れや痛み、歯周病による痛み
- 市販品の例:ロキソニンSなど
2. アセトアミノフェン
- 利点:胃に優しい。NSAID系が飲めない人でも使える
- 使用場面:軽い痛みから中程度の痛みまで対応できる
- 市販品の例:カロナール、タイレノールなど
では、2つを組み合わせるとどうなる?
ここが最も重要なポイントです。実は、2つの異なるタイプの鎮痛薬を組み合わせると、痛みをより効果的に抑えられることが、複数の高質量な医学研究によって証明されています。
根管治療に対する大規模臨床試験(2016年)
2016年に、スーダンのハルツーム大学とサウジアラビアのキング・カリド大学の研究者たちが、二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験(医学研究の最高レベルの実験方法)を実施しました。
実験の内容
- 対象:中程度~激しい歯痛を持つ170人の患者
- 治療方法:根管治療(根の中の神経を取る治療)の前後に、異なる鎮痛薬を1種類ずつ投与
- 比較した薬:
- アセトアミノフェン単独
- イブプロフェン+アセトアミノフェン併用
- ジクロフェナック+アセトアミノフェン併用
- メフェナム酸+アセトアミノフェン併用
- プラセボ(効果のない薬)
驚くべき結果
痛みの軽減について、患者たちの回答を統計分析した結果は以下の通りです:
- イブプロフェン+アセトアミノフェン併用 ← 最も効果が高かった!
- ジクロフェナック+アセトアミノフェン併用
- メフェナム酸+アセトアミノフェン併用
- アセトアミノフェン単独← 有効成分のある投薬内では最も効果が低かった
- プラセボ ← 最も効果が低かった
この研究により、「特にイブプロフェンとアセトアミノフェンの組み合わせが、根管治療後の強い痛みを最も効果的に抑える」ことが科学的に証明されたのです。
アメリカの大規模レビュー研究
アメリカ歯科医師会の医学文献レビューでは、第三大臼歯(親知らず)抜歯後の痛み管理について、58,000人以上の患者データを分析しました。
その結果、驚くべき発見がありました:
- イブプロフェン400mg+アセトアミノフェン1000mgの組み合わせは、オピオイド含有薬より、はるかに効果的だった
- しかも、有害事象(副作用)のリスクが低かった
つまり、強い痛み止めとして処方されるオピオイド(麻薬性の痛み止め)よりも、市販薬の組み合わせの方が安全で効果的だということです。
なぜ2つの薬を組み合わせるとより効くのか?
2つの薬が異なるメカニズムで痛みを抑えるからです。
- NSAID系(ロキソニンやイブプロフェン):末梢神経で、プロスタグランジンという痛みのもとになる物質の産生を阻止します。つまり、「痛みの根本原因である炎症そのもの」を消す
- アセトアミノフェン:脳や脊髄の中枢神経で痛み信号の伝わりをブロックします。つまり、「脳に痛いという感覚を送らない」
このように、「末梢(体の先端)」と「中枢(脳)」の2箇所で同時に痛みを抑えるため、1つの薬だけを飲むよりも、大幅に効果が高まるのです。
アメリカの研究者モーア博士とハーシュ博士は、この現象を「痛覚経路の両端を標的にしている」と表現しています。つまり、痛みが起きるプロセスの最初と最後の両方に働きかけるため、より効果的なのです。
今回取り上げた論文でロキソプロフェン(ロキソニン)が用いられていないのはなぜ?
ロキソプロフェンは、日本において合成・開発されたフェニルプロピオン酸系の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID) です。日本の製薬企業(旧三共、現在のダイチサンキョウとその関連企業)により1980年代に開発されました。日本、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン(「Oxeno」という名称)、インド(「Loxomac」という名称)で販売されていますが、世界のロキソプロフェン消費量の70%以上を日本が占めている のが現状です。ロキソプロフェンが日本で非常に人気がある理由は、プロドラッグとしての特性 にありロキソプロフェンは胃腸で吸収されたあと、肝臓で活性代謝物(trans-OH体)に変わって初めて効果を示します。そのため、胃内での直接的な刺激が少なく、他のNSAIDと比べて消化管障害が比較的少ないとされています。ただし、欧米では市販されていないため論文化されることが少ないのが現状です。
日本で買える「2つが一緒に入った市販薬」
実は、アセトアミノフェンとNSAID系(特にイブプロフェン)の2つが一緒に入った市販薬が、日本でも複数販売されています。このような製品は、医学的に安全な用量で配合されているため、別々に飲む心配がありません。
商品比較表(2025年現在)
| 項目 | バファリンプレミアム | バファリンプレミアムDXクイック+ | イブスリーショットプレミアム |
|---|---|---|---|
| 製造元 | ライオン株式会社 | ライオン株式会社 | エスエス製薬 |
| 医薬品分類 | 第2類医薬品 | 第2類医薬品 | 第2類医薬品 |
| イブプロフェン | 130mg(2錠中) | 160mg(2錠中) | 195mg(3錠中) |
| アセトアミノフェン | 130mg(2錠中) | 160mg(2錠中) | 195mg(3錠中) |
| その他主要成分 | カフェイン80mg、アリルイソプロピルアセチル尿素60mg、胃粘膜保護成分70mg | カフェイン50mg、胃粘膜保護成分(具体的な量は公開されていない) | カフェイン65mg、酸化マグネシウム70mg |
| 特徴的な成分 | 鎮痛補助成分を2種類配合 | 鎮痛補助成分は1種類(カフェイン)、眠くなる成分無配合 | 眠くなる成分無配合 |
| 用法・用量 | 1回2錠、1日3回、4時間以上の間隔 | 1回2錠、1日2~3回、4時間以上の間隔 | 1回3錠、1日2回、6時間以上の間隔 |
| 発売時期 | 定番商品 | 2021年発売 | 2024年9月発売 |
| 特徴 | 独自技術「クイックアタック錠」で速く溶ける | バファリンプレミアムより成分約20%増量。眠気が出にくい | イブプロフェンの吸収速度を高めた「クイックアクション製法」採用 |
| こんな人向け | 標準的な効き目を求める方 | より強い効き目が必要な方、眠気に敏感な方 | 最新製法で快速に効きたい方、眠気に敏感な方 |
成分量の違いについて
3つの商品の中で、成分量が異なります。
- バファリンプレミアム:イブプロフェン+アセトアミノフェン = 130mg × 2 = 合計260mg
- バファリンプレミアムDXクイック+:イブプロフェン+アセトアミノフェン = 160mg × 2 = 合計320mg(プレミアムより約20%増)
- イブスリーショットプレミアム:イブプロフェン+アセトアミノフェン = 195mg × 2 = 合計390mg
つまり、症状の強さに応じて、成分量の大きさを選ぶことができるというわけです。
眠気に関する違い
- バファリンプレミアム:「アリルイソプロピルアセチル尿素」という鎮痛補助成分が入っており、眠気が出る可能性がある
- バファリンプレミアムDXクイック+:眠気が出る成分を含まない(仕事中や外出先での使用に向く)
- イブスリーショットプレミアム:眠気が出る成分を含まない(仕事中や外出先での使用に向く)
眠気が出る成分を含まない鎮痛薬にも関わらずカフェインが入っているものがある理由についてはなぜ市販の痛み止めにカフェインが入っているのか?を御覧ください。
用法・用量の違い
各製品で1回の錠数と飲む回数が異なります。
- バファリンプレミアム&DXクイック+:1回2錠
- イブスリーショットプレミアム:1回3錠(飲む錠数が多い代わりに、1日2回と回数が少ない)
飲みやすさで選ぶなら、1回2錠の方が楽です。
抜歯後や根管治療後の痛みはどうなるのか?
アメリカ歯科医師会(ADA)のガイドラインでは、治療の内容によって予想される痛みのレベルが異なることを明確にしています。
軽い痛みが予想される場合(例:通常の根管治療、簡単な抜歯)
→ イブプロフェン200~400mg、4~6時間ごと
中程度の痛みが予想される場合(例:複雑な根管治療、外科的抜歯)
→ イブプロフェン400~600mg+アセトアミノフェン500~1000mg、6時間ごと
つまり、親知らずの抜歯後など比較的強い痛みが予想される場合は、最初からイブプロフェンとアセトアミノフェンの併用が推奨されているのです。
ただし、日本の場合は健康保険制度上の制約から、抜歯後に2種類の痛み止めを同時に処方されることはほぼないと考えて良いです。
市販薬を選ぶときの注意点
✅ 正しい使い方
- 用量・用法を守る:必ず説明書に書かれた量を、指定された頻度で飲んでください
- 複数の市販薬を組み合わせない:既に2つの成分が入っている製品を選んだら、他の鎮痛薬を足してはいけません
- 薬剤師に相談する:ドラッグストアで買うときは、薬剤師に「他の薬を飲んでいないか」「アレルギーはないか」「妊娠していないか」を聞かれます。正直に答えてください
- 歯の症状が出たら早めに受診を:必ず医科医院を受診してください
❌ 避けるべきこと
- 複数の市販薬を同時に飲む:アセトアミノフェンが重複すると、肝臓に負担がかかります
- 長期間の連続使用:市販薬は一時的な対処です。長く使い続ける場合は医師に相談してください
- 空腹時に飲む:NSAID系は胃を傷めやすいため、食後に飲むようにしましょう
なぜ早めに歯科医院に行くべきなのか?
虫歯は進行する
虫歯の痛みを市販薬で一時的に抑えても、虫歯そのものは進行し続けます。
- 初期段階(白い斑点)→ 治療が簡単
- 進行段階(黒い穴が開く)→ 神経を取る必要が出てくる可能性
- 末期段階(膿が溜まる)→ 抜歯が必要になることも
早く受診すれば、治療は短くて済みます。
抜歯後の痛みも要注意
抜歯から1~2日は、ある程度の痛みや腫れが起きるのは通常です。市販薬で対処できる程度の痛みであれば心配ありませんが、市販薬で対処できないほどの痛みや、どんどん悪化していく場合は、「ドライソケット」などの合併症が起きている可能性があります。このような場合は、抜歯をした歯科医院にすぐに連絡してください。
感染症の危険性
特に次のような症状が出ていたら、深刻な感染症(蜂窩織炎など)の可能性があります:
- 顔全体が腫れている
- 高い熱が出ている
- 口を開けるのが難しい
- 飲み込むときに激しい痛みがある
このような場合は、市販薬では対応できません。直ちにかかりつけの歯科に相談してください。休診日、祝祭日、深夜などでかかりつかの歯科と連絡が取れない場合では、医科の救急外来へ行くことも検討する必要があります。ただし、大きな病院へ紹介状なしで受診する場合には通常の診察料とは別に「特別料金(選定療養費)」が健康保険適用外で全額自己負担となり、初診で7,000円(歯科は5,000円)以上、再診で3,000円(歯科は1,900円)以上が追加でかかります。
市販薬を使うべき場面
市販薬の利用が適切な場面は、以下のような限られた状況です:
- 抜歯や根管治療後に予想外の痛みや腫れがあり、処方された分量では足りなくなってしまった
- 歯科医院が閉まっている時間帯に、急に歯痛が出た
- 通院予定までの間、痛みを一時的に抑えたい
つまり、市販薬は「歯科を受診するまでの応急処置」であり、根本的な治療ではないということを忘れずに。
まとめ:覚えておくべき4つのポイント
1️⃣ 痛みは危険信号
歯痛や抜歯後の痛みを感じたら、できるだけ早く歯科医院に相談してください。市販薬でごまかさない。
2️⃣ 市販薬は応急処置
市販薬は、病気を治すのではなく、医科や歯科に行くまでの間、痛みを一時的に抑えるためだけのものです。
3️⃣ 2つの成分が一緒に入った製品が科学的に証明された効果がある
イブプロフェン+アセトアミノフェンが一緒に入った「バファリンプレミアム」や「イブスリーショットプレミアム」などの製品は、複数の高質量な臨床試験によって、単独投与より優れた効果が証明されています。ただし、他の薬との飲み合わせについては、必ず薬剤師に相談してください。
| 【注意】 この記事は一般的な情報提供を目的としています。市販薬から自分の症状に最適な薬を選ぶ際は、薬局にいる薬剤師に必ず相談してください。特に他の薬を飲んでいる方、アレルギーがある方、妊娠・授乳中の方は、医師、歯科医師の指導を受けてください。 |
参考文献
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下顎第三大臼歯抜歯後の疼痛管理:イブプロフェン対アセトアミノフェン – システマティックレビュー
https://www.cochrane.org/evidence/CD004624 - Loxoprofen Sodium Versus Diclofenac Potassium for Post-operative Dental Pain Management: A Systematic Review. (2019)
抜歯後の疼痛管理におけるロキソプロフェンナトリウム対ジクロフェナックカリウム:システマティックレビュー
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7148446/ - Katz S. Analgesics: Balancing the Equation. – American Association of Endodontists.
鎮痛薬:バランスの方程式 – 歯科における麻酔と除痛
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急性歯痛に対する経口鎮痛薬 – ADA公式ガイドライン
https://www.ada.org/resources/ada-library/oral-health-topics/oral-analgesics-for-acute-dental-pain - ライオン株式会社. バファリン プレミアム|解熱鎮痛薬.(製品情報)
https://www.lion.co.jp/ja/products/188 - ライオン株式会社. バファリン プレミアムDXクイック+|解熱鎮痛薬.(製品情報)
https://www.lion.co.jp/ja/products/546 - イブスリーショットプレミアム | 製品情報 | エスエス製薬(製品情報)
https://www.ssp.co.jp/product/detail/eve3sp/ - 厚生労働省. 市販の解熱鎮痛薬の選び方.(情報提供)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00404.html
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