コラム|船橋の歯医者・矯正歯科|かわせみデンタルクリニック

初診のみ
WEB予約
電話予約
初診のみ
WEB予約

コラム

コラムCOLUMN

【言語】日本語と中国語で通じやすい歯科・医学用語まとめ|歯科医学生・歯科医療者向け

日本語と中国語(簡体字・繁体字)で共通または近い表現を使う歯科用語・医学用語を一覧化。歯科医学生・歯科医師・歯科衛生士向けに、ピンイン付きで整理し、「糖尿病」などの医学漢語は日本発かという歴史的背景や、中国に逆輸入された漢語の年表も根拠に基づいて解説します。

目次

  • 日本語と中国語で通じやすい医療用語とは
  • 歯科用語一覧
  • 一般医学でよく使う病名一覧
  • 「糖尿病」などの医学漢語は日本発か
  • 歯科用語に関する日中の関係
  • 日本発漢語が中国に定着した時期の年表
  • 中国に逆輸入された代表的な医学・関連漢語
  • 教育用途で使うポイント

日本語と中国語で通じやすい医療用語とは

日本語と中国語はどちらも漢字を使うため、病名や歯科用語の中には、字面が同じもの、1文字だけ違うもの、構造がほぼ共通のものが少なくありません。1,2

特に歯科では、日本語の「歯」が中国語では「牙」、「歯肉」が「牙龈/牙齦」になるように、一定の対応パターンがあります。1,3

このため、歯科医学生や歯科医療者が日中両言語の対応をパターンで覚えると、患者説明や多言語対応だけでなく、専門語の理解そのものにも役立ちます。1,3

歯科用語一覧

以下は、教育用途を意識して、歯科で比較的よく使う語をできるだけ多くまとめた一覧です。中国語は簡体字と繁体字を併記し、発音の目安としてピンインも付けています。1,3

日本語中国語(簡体字/繁体字)ピンイン簡単な注釈
牙齿/牙齒yá chǐ基本語。単独では「牙齿」が一般的。
歯科牙科/牙科yá kē日本語「歯科」に対応する基本語。
口腔口腔/口腔kǒu qiāng口の中全体を指す専門語。
歯肉牙龈/牙齦yá yín日本語「歯肉」に対応。
歯垢牙菌斑/牙菌斑yá jūn bānプラーク。
歯石牙石/牙石yá shíスケーリング説明で重要。
う蝕龋齿/齲齒qǔ chǐ学術寄りの「虫歯」。
虫歯蛀牙/蛀牙zhù yá一般向け説明で通じやすい。
歯周病牙周病/牙周病yá zhōu bìng日中で非常に近い表現。
歯周炎牙周炎/牙周炎yá zhōu yán歯周組織の炎症。
歯肉炎牙龈炎/牙齦炎yá yín yán歯肉に限局した炎症。
歯肉出血牙龈出血/牙齦出血yá yín chū xuè歯周病説明で頻出。
歯髄牙髓/牙髓yá suǐ歯の内部組織。
歯髄炎牙髓炎/牙髓炎yá suǐ yán歯髄の炎症。
急性歯髄炎急性牙髓炎/急性牙髓炎jí xìng yá suǐ yán自発痛を伴いやすい。
歯髄壊死牙髓坏死/牙髓壞死yá suǐ huài sǐ歯髄失活の状態。
根尖根尖/根尖gēn jiān歯根の先端部。
根尖性歯周炎根尖牙周炎/根尖牙周炎gēn jiān yá zhōu yán歯内療法で重要な診断名。
急性化膿性根尖性歯周炎急性化脓性根尖牙周炎/急性化膿性根尖牙周炎jí xìng huà nóng xìng gēn jiān yá zhōu yán急性増悪例で重要。
慢性根尖性歯周炎慢性根尖牙周炎/慢性根尖牙周炎màn xìng gēn jiān yá zhōu yán慢性経過をとる根尖病変。
根尖病変根尖病变/根尖病變gēn jiān bìng biàn根尖部病変の包括語。
根管根管/根管gēn guǎn根管治療の基本語。
根管治療根管治疗/根管治療gēn guǎn zhì liáo一般向けにも使いやすい。
歯内療法牙髓治疗/牙髓治療 などyá suǐ zhì liáo文脈差はあるが教育上対応づけしやすい。
抜髄拔髓/拔髓bá suǐ歯髄除去。
感染根管治療感染根管治疗/感染根管治療gǎn rǎn gēn guǎn zhì liáo再感染例などで用いる。
再根管治療根管再治疗/根管再治療gēn guǎn zài zhì liáoいわゆる再治療。
抜歯拔牙/拔牙bá yá非常に頻出。
埋伏歯阻生牙/阻生牙zǔ shēng yá智歯でよく用いる。
智歯智齿/智齒zhì chǐ親知らず。
智歯周囲炎智齿冠周炎/智齒冠周炎zhì chǐ guān zhōu yán智歯周囲の感染。
咬合咬合/咬合yǎo hé補綴・矯正で基本。
不正咬合错颌畸形/錯頜畸形cuò hé jī xíng矯正分野の基本語。
顎関節症颞下颌关节紊乱/顳下頜關節紊亂niè xià hé guān jié wěn luànTMD に相当。
義歯义齿/義齒yì chǐ補綴の基本語。
総義歯全口义齿/全口義齒quán kǒu yì chǐ無歯顎の義歯。
部分床義歯局部义齿/局部義齒jú bù yì chǐ部分義歯。
補綴修复/修復xiū fù中国語では広く「修復」が対応。
被せ物牙冠/牙冠yá guān患者説明で使いやすい。
クラウン冠/冠guān補綴装置の基本語。
ブリッジ固定义齿/固定義齒gù dìng yì chǐ固定性補綴。
インプラント种植牙/種植牙zhǒng zhí yá一般向けにも広く通じる。
矯正歯科正畸科/正畸科zhèng jī kē矯正の診療科名。
口内炎口腔溃疡/口腔潰瘍kǒu qiāng kuì yáng実臨床ではこの表現が通じやすい。
口腔癌口腔癌/口腔癌kǒu qiāng ái代表として1種のみ掲載。他の癌も同様に近い漢字構造を持つことが多い。
口腔乾燥症口干症/口乾症kǒu gān zhèngドライマウス。
口臭口臭/口臭kǒu chòu日中で一致。
疼痛疼痛/疼痛téng tòng問診で有用。
腫脹肿胀/腫脹zhǒng zhàng炎症所見の基本語。
膿瘍脓肿/膿腫nóng zhǒng歯性感染で使う。

一般医学でよく使う病名一覧

歯科の問診や全身管理では、歯科以外の病名も把握しておく必要があります。日本語と中国語でかなり近い表現の病名は、歯科の多言語対応でも役立ちます。1,2

日本語中国語(簡体字/繁体字)ピンイン簡単な注釈
糖尿病糖尿病/糖尿病táng niào bìng完全一致。歯周病や創傷治癒と関連。
高血圧高血压/高血壓gāo xuè yā「圧」の字だけが異なる。
心臓病心脏病/心臟病xīn zàng bìng循環器疾患の総称。
肝臓病肝病/肝病gān bìng中国語では簡略化されることがある。
腎臓病肾脏病/腎臟病shèn zàng bìng薬剤投与時にも重要。
肺炎肺炎/肺炎fèi yán完全一致。
貧血贫血/貧血pín xuè「貧/贫」の違いのみ。
骨粗鬆症骨质疏松症/骨質疏鬆症gǔ zhì shū sōng zhèng抜歯や薬剤関連で重要。
胃炎胃炎/胃炎wèi yán完全一致。
胃潰瘍胃溃疡/胃潰瘍wèi kuì yáng構造が対応。
喘息哮喘/哮喘xiào chuǎn字面は異なるが意味対応が重要。
脳卒中中风/中風zhòng fēng字面は異なるが頻出。

「糖尿病」などの医学漢語は日本発か

結論からいえば、糖尿病を含む多くの漢字医学用語について、「近代日本で西洋医学を翻訳する過程で整備された語が、中国語に取り入れられた」という説明は、おおむね事実と考えてよい内容です。4,5,6

1. 明治以降、日本で作られた漢語が中国へ

19世紀後半以降、西洋医学や科学概念を受け入れるため、日本では大量の翻訳漢語、いわゆる和製漢語が作られました。医学書院の解説でも、その多くは中国よりも少し早く日本で工夫され、中国に逆輸出されたと説明されています。4,5

代表例として、医学以外でも「社会」「哲学」「地球」などの抽象概念語が挙げられており、これらはそのまま中国語の語彙としても取り入れられています。4,5,9

医学領域でも「神経」をはじめ、多くの用語が日本で先に整備され、中国側が受け入れたことが指摘されています。4,5

2. 医学用語に関する専門家の指摘

医学書院の連載「逆輸出された漢字医学用語」では、医学領域でも多数の用語が日本で作られ、中国に渡っていったと明言されています。4,5

同連載では、「神経」を典型例として挙げながら、「漢字医学用語のかなりの部分が日本製であり、その後中国に逆輸出された」という趣旨の説明がなされています。4,5

また、一般向けの医療用語解説では、「大脳」「膣」「腺」「盲腸」「解剖」などの解剖学用語が日本で作られた翻訳語として紹介されており、こうした語が中国語医学用語にも入っていることが示されています。7

3. 「糖尿病」はどうか

「糖尿病」個別の厳密な語源史を扱った一次研究は多くありませんが、逆輸出された漢字医学用語の代表例の一つとして現在も言及されています。4,5

語の構造をみると、「糖」「尿」「病」という漢字を組み合わせて西洋医学の病態概念を表しており、典型的な翻訳漢語の形に合致します。4,5

19世紀末から20世紀初頭にかけて日本で西洋医学用語が次々と漢語化された流れの中で、「糖尿病」も整理・定着し、その後中国でも同じ漢字語が採用されたと理解するのが、現在の解説ともっとも整合的です。4,5,6

したがって、厳密な初出資料レベルまでさかのぼるには別途検討が必要ですが、「糖尿病を含む多くの漢字医学用語が、日本で先に翻訳語として整えられ、中国語に逆輸入された」という説明は、現代の専門家解説や医学史解説と整合的であり、妥当といえます。4,5,6

歯科用語に関する日中の関係

1. 歯科領域での漢字用語

歯科領域でも、日本と中国・台湾で同じ漢字や近似の漢字を用いる例が多く、「歯/牙」「歯周病/牙周病」「抜歯/拔牙」などは構造的に対応しています。1,3

歯科専門用語を論じた論文でも、「歯」「牙」「齒」などの用字の揺れを含めた日中の歯科用語対応が取り上げられており、日本語の「歯牙」に対して中国語では「牙歯」「歯牙」などの組み合わせもみられることが指摘されています。3

また、台湾では診療科名として「牙科」が一般的であり、日本の「歯科」に対応します。3

2. 歯科用語も「和製漢語→中国語」という流れがあり得る

一般の漢語史の議論では、医療領域を含む多くの専門用語が日本で先に体系化され、それが中国に輸入されたとされています。4,5,8,9

歯科に特化した個別語、たとえば「歯周病」や「歯肉炎」が確実に日本発であると断定できる史料は限られますが、西洋歯科医学の導入時期や、他の医学用語と同じく「歯+周+病」「歯肉+炎」のような構造をもつことを考えると、日本での翻訳漢語が中国語にも影響した可能性が高いグループに属すると考えるのが自然です。3,4,5

そのため、歯科分野では「個々の語を日本発と断定するのは慎重であるべきだが、近代日本で整備された専門語体系が中国語の口腔医学用語にも少なからず影響した」と説明するのが、現時点では最もバランスのよい書き方です。3,4,5

日本発漢語が中国に定着した時期の年表

日本発の漢語が中国に定着した時期は、広くみると19世紀後半から20世紀前半にかけてが中心です。特に医学や自然科学の訳語は、明治後期から大正、さらに中華民国初期にかけて、中国語の学術語彙として定着していったと考えられています。4,8,9,10

1. 19世紀前半〜幕末

この時期には、西洋の自然科学や医学を日本語に移し替える試みが始まり、のちの和製漢語につながる下地が作られました。近代新概念の受容史を扱った研究では、「細胞」のような語が19世紀前半の日本の文献にすでに見られることが指摘されています。10

2. 明治初期〜中期

明治維新後、日本では西洋医学・科学・法学・哲学の翻訳が急速に進み、新しい概念を表す漢語が大量に作られました。和製漢語に関する研究でも、この時期が現代中国語形成に大きな影響を与えた転換点として位置づけられています。8,9,11

3. 明治後期〜大正

この時期が、日本発の漢語が中国に大量に入った中心期です。日本に留学した中国人知識人や、日本の翻訳書を通じて、多くの新語が中国に移入されました。医学書院の連載でも、医学用語の多くが中国より少し早く日本で工夫され、中国へ逆輸出されたと説明されています。4,5,8

4. 中華民国初期〜20世紀前半

中国側では、新しい国家・学術・教育制度の整備とともに、日本経由の訳語が定着していきました。和製漢語の受容を扱った研究でも、19世紀後期から20世紀初期にかけて日本の和製漢語が中国に逆輸入され、現代中国語の形成に大きな役割を果たしたとされています。8,11

5. 現代まで

すべての語が同じ時期に一斉に定着したわけではなく、医学・科学・社会科学・日常語で受容の時期は少しずつ異なります。ただし、基盤となる流れは、近代日本で作られた翻訳漢語が清末から20世紀前半にかけて中国語へ取り込まれた、という理解でほぼ共通しています。8,9,10,11

中国に逆輸入された代表的な医学・関連漢語

医学やその周辺領域には、日本で整備され、その後中国語に取り入れられたと考えられている漢語が少なくありません。歯科と関係が深い全身管理の語も多いため、背景知識として押さえておくと有用です。4,5,6,7

用語分野記事内での位置づけ補足
糖尿病代謝・内分泌代表例医学書院連載で個別に扱われる。
高血圧循環器代表例医学書院連載で個別に扱われる。
内分泌基礎医学・内科代表例医学書院連載で個別に扱われる。
免疫基礎医学代表例同連載で扱われる医学漢語。
遺伝基礎医学代表例同連載で扱われる。
結核感染症代表例同連載で扱われる。
梅毒感染症代表例同連載で扱われる。
腫瘍代表例同連載で扱われる。
神経解剖・神経科学代表的な逆輸出語医学書院連載で典型例として言及。
細胞生物学・病理学近代早期の代表例19世紀前半の日本文献で使用が確認される。
解剖基礎医学一般向けでもよく知られる例一般向け医療用語解説で紹介。
大脳解剖学一般向けでもよく知られる例一般向け医療用語解説で紹介。
解剖学一般向けでもよく知られる例一般向け医療用語解説で紹介。
解剖学・病理学一般向けでもよく知られる例一般向け医療用語解説で紹介。
盲腸消化器一般向けでもよく知られる例一般向け医療用語解説で紹介。

これらの語は、すべて同じ強さの証拠で裏づけられているわけではありません。糖尿病、高血圧、内分泌、遺伝、結核などは、医学書院の連載で個別に扱われているため比較的説明しやすい一方、他の語は一般的な和製漢語研究や一般向け解説を根拠に補強する形になります。4,5,6,7,8,10

教育用途で使うポイント

歯科医学生向けには、「完全一致の語」だけでなく、「歯→牙」「歯肉→牙龈」「歯髄→牙髓」「根尖性歯周炎→根尖牙周炎」のような変換パターンで学ぶと、未知の語にも対応しやすくなります。1,3

また、患者説明では「虫歯=蛀牙」のような一般語と、「う蝕=龋齿」のような学術語を並べて覚えると、教育と実務の両方に応用しやすくなります。1

癌については表では代表として「口腔癌」のみを載せましたが、胃癌、肝癌、肺癌なども同様に、日中で近い漢字構造を持つものが少なくありません。2,6

参考文献

  1. 避難所等における「歯科関連外国語対訳表」
    https://www.jda.or.jp/dentist/disaster/pdf/Shelter_Parallel_Translation.pdf
  2. 外国人向け多言語説明資料 一覧
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokusai/setsumei-ml.html
  3. 専門用語は学問である(2009)
    https://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/1663/1/109_355.pdf
  4. 逆輸出された漢字医学用語(1)糖尿病(2023)
    https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2023/3520_05
  5. 逆輸出された漢字医学用語 [第1回] 糖尿病(2023)
    https://mashup.igaku-shoin.co.jp/articles/3520_05
  6. 逆輸出された漢字医学用語(4)内分泌(2023)
    https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2023/3531_05
  7. 外国人患者さんには通じない医療用語(2022)
    https://ml.medica.co.jp/series/medicalterm/1021/
  8. 中国における和製漢語の受容
    https://www.akita-u.ac.jp/eduhuman/graduate/abstract_pdf/08-015.pdf
  9. 和製漢語と中国語
    https://teapot.lib.ocha.ac.jp/record/40953/file_preview/34_217-222.pdf
  10. 漢字文化圏における近代西洋新概念の受容・交流・共有・異化
    https://www.jfe-21st-cf.or.jp/jpn/hokoku_pdf_2008/asia05.pdf
  11. 和製漢語の文化交流 ―「国際」を原義から考える―
    https://www.shk-ac.jp/img/lab/03/02/pdf/ire_watching14.pdf

関連記事 |船橋の歯医者・矯正歯科|かわせみデンタルクリニック


執筆・監修 中村 瞬
かわせみデンタルクリニック 院長 / 歯学博士(歯科麻酔学)/ 日本歯科麻酔科学会 認定医
医療記事をほぼ毎日更新中・TV取材多数
医学的根拠(エビデンス)に基づいた正確で分かりやすい情報を患者目線でお届けしています。


かわせみデンタルクリニック

所在地:〒273-0005 千葉県船橋市本町6丁目3−20 ベルヴィル船橋本町 1階B号室
電話番号:047-409-2988
JR・東武鉄道「船橋」駅 徒歩4分
平日 9:00 ~ 13:00 14:30 ~ 18:00
土曜 9:00 ~ 13:00 14:00 ~ 17:00
(休診:日曜・月曜・祝日)

当院は、初診時にしっかりと検査を行い、歯周病虫歯根管治療から矯正歯科・小児矯正まで、丁寧にご説明のうえで治療を進めています。
治療後も再発予防に努め、安心して通える歯科医院をめざしています。