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【音楽】楽器演奏と顎関節症:知っておきたい関係性

音楽を愛する多くの方が楽器演奏を楽しんでいますが、実は演奏が口や顎に与える影響について気になったことはありませんか?今回は、弦楽器と管楽器の演奏が顎関節症(TMD)にどのような影響を及ぼすかを調べた包括的な研究をご紹介します。

「弦楽器や管楽器の演奏は顎関節症のリスク要因となるか?システマティックレビュー」(2017)

研究の背景

プロの音楽家は幼少期から楽器演奏を始め、技術向上のために長時間の練習を重ねます。音楽演奏は楽しい活動として捉えられがちですが、実は健康上の問題を引き起こす可能性があることが医学的に注目されています。特に、顎関節症(TMD)は音楽家に多く見られる問題の一つです。

楽器別の影響メカニズム

弦楽器(ヴァイオリン・ヴィオラ)の場合

  • 楽器を肩と顎の角度で支える姿勢により、顎の筋肉に過度な負荷がかかる
  • 楽器からの振動が顎関節に伝わる
  • 演奏時の圧力は200g~2,200gの範囲で変動し、顎関節に機械的ストレスを与える

管楽器の場合

  • アンブシュア(楽器を口にくわえる技法)により、唇や歯に圧力がかかる
  • 金属製マウスピースを唇に押し当てたり、リードを歯と唇の間に挟む動作が必要
  • 音を出すために特殊な顎の動きが要求され、顎関節を圧迫する可能性がある

研究結果のポイント

この研究では、732件の論文を系統的に調査し、最終的に10件の高品質な研究を分析しました。その結果:

顎関節症の発症率

  • 音楽家における顎関節症の有病率:47.0%~89.0%
  • 全ての研究で楽器演奏と顎関節症との関連が認められた
  • 特にヴァイオリン奏者で他の楽器奏者より高い発症率を示した

主な症状

  • 顎関節のクリック音・ポキッという音(最も多い症状)
  • 顎や咀嚼筋の痛み
  • 口の開閉時の痛みや制限
  • 頭痛、首や顔面筋の痛み
  • 耳の痛みや聞こえにくさ

治療効果

  • 口腔内スプリント(マウスピース)治療により、約80%の音楽家で症状改善が認められた

日常生活での注意点

演奏者へのアドバイス

  1. 定期的な休憩:長時間連続での練習は避け、こまめに休憩を取る
  2. 正しい姿勢:楽器を支える姿勢や演奏フォームを見直す
  3. 症状の早期発見:顎の痛みや音、口の開けにくさを感じたら早めに相談
  4. 専門家との連携:歯科医師や音楽指導者と連携したケアプラン

予防策

  • 演奏前後の顎周りのストレッチ
  • 適切な楽器のメンテナンスとフィッティング調整
  • 過度な練習時間の見直し
  • ストレス管理(演奏会前の緊張なども影響する)

まとめ

この研究により、弦楽器・管楽器の演奏が顎関節症のリスク要因となる可能性が科学的に示されました。しかし、これは「楽器演奏をやめるべき」ということではありません。適切な知識と予防策により、音楽を楽しみながら健康を維持することが可能です。

演奏者の皆さんは、症状が現れた際の早期対応と、日頃からの予防意識を持つことが大切です。気になる症状がある場合は、楽器演奏に理解のある歯科医師音楽医学の専門家に相談することをお勧めします。


参考文献

  1. Cavalcanti, A. L., et al. “Is playing string or wind musical instruments a risk factor for temporomandibular dysfunction? A Systematic Review.” Journal of Oral Research 2017; 6(11): 299-306. URL: https://dialnet.unirioja.es/descarga/articulo/6205650.pdf

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