【音楽】楽器演奏が歯並びと顔貌に与える影響
楽器、特に吹奏楽器の演奏は、歯の位置や顔の形態(顔貌)にわずかながら影響を及ぼす可能性があります。本記事では、2020年に発表されたシステマティックレビューをもとに、演奏による口腔・顔面への変化を解説します。
主なポイント
- 前歯の出っ張り(Overjet):シングルリード(クラリネットなど)演奏者の大人では、非奏者よりややOverjet(歯の前後関係の被蓋)が大きい傾向。
- 歯列弓幅:子どもの金管楽器奏者では、上下の大臼歯間幅(左右の奥歯と奥歯の距離)が広がる傾向。
- 顔面高さの変化:6~15歳の金管楽器・シングルリード奏者は、非奏者より前顔面高さの増加が小さい。
- 唇の厚み:吹奏楽器を演奏する子どもは、非奏者より唇が厚くなる傾向。
- Overjetの変化(メタ解析結果):6か月~3年の追跡で、金管楽器奏者の子どもはOverjetが有意に減少。ただし臨床的意義は限定的で、全体的なエビデンスレベルは「非常に低い」と評価。

研究概要
- 対象:36~170名、子どもからプロ奏者まで計10報の観察研究(横断7、縦断3)。
- 評価方法:側貌X線セファログラム、歯型模型、臨床検査による歯位置・顔貌解析。
- 探索期間:2019年9月までにPubMed, EMBASE, Cochrane, Google Scholarなどを系統的に検索。
様々な種類の管楽器を口の中に、口の間、または口に当てて持つ様子を示した模式図

(A)金管楽器(例:トランペット、トロンボーン、ホルン、チューバ)
(B)シングルリード楽器(例:クラリネット、サクソフォン)(シングルリップアンブシュア)
(C)ダブルリード楽器 (オーボエ、ファゴットなど) (ダブルリップ アンブシュア)
(D)フルートとピッコロ
実生活への影響・注意点
- 臨床的意義の限定:研究で示された変化は統計的には有意でも、日常の演奏や外観に影響を与えるほど大きいものではありません。
- 個人差が大きい:楽器の種類や演奏時間、個別の口腔環境により、影響の程度は異なります。
- 定期検診の重要性:演奏歴が長い場合や顕著な不正咬合・顎関節症状がある場合は、歯科・矯正専門医による定期チェックをおすすめします。
参考文献
- Lam, P., et al. “Does playing a wind instrument influence tooth position and facial morphology? : Systematic review and meta-analysis.”
「吹奏楽器の演奏は歯位置や顔貌に影響を及ぼすか?:システマティックレビューとメタアナリシス」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32556368/
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この記事の監修者
中村 瞬
かわせみデンタルクリニック 院長 / 歯学博士(歯科麻酔学)/ 日本歯科麻酔科学会 認定医
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