非糖質甘味料に減量効果はなく、心血管疾患などを増やす可能性 -WHOガイドライン-
WHO(世界保健機構)から非糖質甘味料(NSS)に関する新たなガイドラインを発表新たなガイドラインが発表 :2023/5/15
- 砂糖代替の甘味料に体重減らす効果なし、WHOが新勧告 – CNN.co.jp
- WHO advises not to use non-sugar sweeteners for weight control in newly released guideline
- Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline
このガイドラインをまとめると
ガイドラインの適応と対象
- 歯磨き粉、スキンクリーム、薬などの非糖質甘味料を含むパーソナルケアおよび衛生製品、およびカロリーを含む糖類に適応
- 非糖質甘味料とはみなされない低カロリーの糖類および糖アルコール(キシリトール、ソルビトールなど)には適用されない
- 糖尿病を持たない人が対象
- 糖尿病の基礎疾患がある人は除外(糖尿病を持つ人が調査対象に含まれていなかったために判断できないため)
このガイドラインが示していること
- 体重コントロールや非感染性疾患のリスク低減のために非糖質甘味料を使用しないよう勧告
- 成人の2型糖尿病、心血管疾患、死亡率の増加など、非糖質甘味料の長期使用による望ましくない影響の可能性がある
- 今回の勧告は消費の安全性に関するコメントを意味するものではない
WHO栄養・食品安全担当ディレクター の提言
「遊離糖※を非糖質甘味料に置き換えることは、長期的には体重コントロールに役立たない。人々は、果物のような自然に存在する糖分を含む食品や無糖の食品や飲料を摂取するなど、遊離糖の摂取を減らす他の方法を検討する必要があります」
「非糖質甘味料は必須食事因子ではなく、栄養価もありません。人々は健康増進のために、人生の早い時期から食事の甘さを完全に減らすべきです」
※遊離糖とは単糖類(ブドウ糖・果糖等)及び二糖類(しょ糖・食卓砂糖等)のこと
では、ここで話のあった非糖質甘味料とは具体的に何のことでしょうか。
甘味料の種類と分類
糖質系甘味料
- 砂糖
- デンプン由来の糖:ブドウ糖、果糖、水飴、トレハロースなど
- その他の糖:乳糖、ガラクトオリゴ糖など
- 糖アルコール:キシリトール、ソルビト-ル、マルチトール(還元麦芽糖)、エリスリトールなど
非糖質系甘味料
- 天然甘味料:ステビア、甘草(グリチルリチン)など
- 合成甘味料:サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK(カリウム)、スクラロース、ネオテーム、アドバンテーム
現在日本で使用許可が出ている合成甘味料はサッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK(カリウム)、スクラロース、ネオテーム、アドバンテームの6種類で、それぞれ必要に応じて一日摂取許容量や使用基準が設けられています。
糖アルコールは対象外
糖アルコールは今回のガイドラインでは対象外となっています。糖アルコールは果物等にも多く含まれます。代表的なものとして挙げられるキシリトールは人工甘味料として扱われますが、白樺、樫、とうもろこしの芯などからも精製される天然素材由来のものとなります。
糖アルコールは大量に摂取すると下痢を起こします。その中でもエリスリトールは最も下痢をおこし難いとされているようです。また、歯磨剤の中には、ソルビト-ルを35%含むものもありますが、歯磨き粉で下痢になったという話は聞きませんし、歯磨き粉は積極的に飲み込むものではないので気にしなくて良さそうです。
非糖質甘味料と腸内細菌叢の関係
最近では、人工甘味料が腸内細菌を乱すと判明、健康に悪影響の恐れも、研究 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (2022.09.14) という記事も出てきており、腸内細菌叢と全身の健康に関わる研究が盛んにされて、徐々に新たな事実が明らかになってきています。今回のガイドラインもこの流れを組んでのものと思われます。繰り返しになりますが、今回のガイドラインは消費の安全性に関するコメントではないので注意が必要です。
歯磨き粉と非糖質甘味料
冒頭ガイドラインの内容にもあった通り、歯磨き粉(歯磨剤)にも非糖質甘味料が含まれている商品もありますが、体重コントロールのために使用しているわけではなく、歯磨き粉の辛さを和らげるため、かつ虫歯を増やさないために非糖質甘味料が使用されていること、ゼロカロリー清涼飲料水などと比較して含有量が極々微量であること、歯磨き粉は飲み込まず吐き出すものであることなどから、現時点では全身的な影響をそこまで考慮しなくても良さそうです。
かわせみデンタルクリニックで取り扱っている商品で、これらのものが含まれているか気になる方はお問い合わせ頂ければと思います。