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睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり)でかかる“想像以上”の咬合力

睡眠時ブラキシズムでかかる“想像以上”の咬合力──日常に潜む歯への負担

睡眠中の歯ぎしりや食いしばり(睡眠時ブラキシズム)は、「無意識にやっているだけ」と軽く見られがちです。しかし研究によると、睡眠中に歯やあごにかかる力は、思いのほか大きく、歯や修復物、さらには顎関節にもダメージを与えかねません。本記事では、信頼性の高い学術論文から得られたデータに基づき、

  • 睡眠時ブラキシズム中の「咬合力」の大きさ
  • 日中の最大随意咬合力との比較
  • 歯や筋肉への影響と予防のヒント

を、専門用語をかみくだきながらお届けします。

睡眠中の咬合力はどれくらい?

平均的な力は「20~25kgf」

Nishigawaら(2001年)の研究では、家庭で3夜連続・計499件のブラキシズム事象を記録した結果、

  • イベントごとの平均咬合力は約22.5kgf(約220N)
  • 平均持続時間は7秒前後
    であることがわかりました。[1]

図にすると、成人男性が片手で約2~3本のペットボトルを持ち上げるくらいの力です。

ピークは覚醒時の力を“超える”ことも

同研究で観察された個体内最高咬合力は42.3kgf(範囲15.6~81.2kgf)に達し、
覚醒時に「思い切り噛むときの力」(平均79.0kgf)と比較すると、最大で約110%まで到達することがありました[1]
つまり、一部の睡眠中エピソードでは、日中に全力で噛むのと同じかそれ以上の力がかかっているのです。

なぜ“睡眠中”にそこまでの力が?

  1. 無意識下の反復運動
    睡眠中は意識がないため、強いクレンチング(歯のかみしめ)を繰り返しても自覚がありません。
  2. アプライアンス(マウスガード)の影響なしに直接歯が接触
    歯と歯の間に緩衝材がないぶん、力がダイレクトに歯に伝わります。

これらが重なり、一回あたりの持続時間は短くても、力のピークが高くなるのです。

長期的に続くとどうなる?

  • 歯の摩耗・破折リスク
  • 詰め物・被せ物の破損
  • 顎関節症状(開口障害や痛み)
  • 咀嚼筋の疲労・こり

など、気づかないうちにダメージが蓄積し、ある日突然“ガチッ”と歯が欠けたり、口が開きにくくなったりすることもあります。

予防とセルフチェックのポイント

  1. 歯ぎしり・食いしばりの自覚を高める
    就寝前に軽く歯を接触させてみて、「歯と歯の間に物があるような違和感」はありませんか?
  2. マウスガード(スプリント)を検討
    歯科医院で作るナイトガードは、咬合力を分散し、歯への直接ダメージを緩和します。
  3. ストレスケア
    心理的ストレスがブラキシズムを悪化させることがあります。リラクゼーションや睡眠環境の改善も効果的です。
  4. 定期検診でのチェック
    歯科医師による嚙み合わせや摩耗の評価を受けることで、早期に対策が可能です。
歯ぎしり

まとめ

睡眠時ブラキシズム中の咬合力は、平均で約20~25kgf、ピークでは覚醒時の最大力を上回る場合もあります[1]無自覚のまま繰り返される過剰な力は、歯や顎、筋肉に大きな負担をかけるため、早めのセルフチェックと対策が肝心です

“寝ている間にも歯は戦っている”──その事実を知り、大切な歯を守る行動を始めましょう。


引用文献

  1. Nishigawa K, Bando E, Nakano M. Quantitative study of bite force during sleep associated bruxism. Journal of Oral Rehabilitation. 2001 May;28(5):485–491.

参考文献