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高齢者の8割がリコピン不足!トマトのリコピンで歯ぐきを守る —— 高齢者の重度歯周炎リスクと最新研究

目次

  1. はじめに:トマトと歯ぐきの意外な関係
  2. 歯周病とはどんな病気?
  3. リコピンってどんな栄養素?
  4. 高齢者の8割近くがリコピン不足という研究結果
  5. どのようにリコピンをとればよいのか
  6. リコピンだけに頼らない「歯ぐきケア」の基本
  7. まとめ:毎日の食事とお口のケアで歯ぐきを守ろう

1. はじめに:トマトと歯ぐきの意外な関係

最近、「トマトに多く含まれる赤い色素リコピンが、高齢者の重い歯周病のリスクを下げるかもしれない」という研究結果が報告されました。
この記事では、専門用語をできるだけかみくだいて、一般の方向けにわかりやすくご紹介します。

2. 歯周病とはどんな病気?

歯周病は、歯ぐきや歯を支えている骨に炎症が起こり、じわじわと壊れていく病気です。
初めは歯ぐきが赤く腫れたり、歯みがきのときに血が出たりする程度ですが、進行すると歯を支える骨が減って、歯がグラグラし、最悪の場合は抜けてしまうこともあります。

特に高齢になるほど、進行した重度歯周炎の人が増えることが知られています。
重度歯周炎になると、「噛みにくい」「食べにくい」といった問題が起き、栄養状態の悪化や生活の質の低下にもつながるため、早めの予防と対策がとても大切です。

3. リコピンってどんな栄養素?

リコピンは、トマトやスイカ、ピンクグレープフルーツなどに多く含まれる赤い色の成分で、「カロテノイド」という仲間の一種です。
強い抗酸化作用があることが知られており、体の中で起こる「酸化ストレス(いわば体のサビのようなもの)」を抑える働きが期待されています。

酸化ストレスや慢性的な炎症は、動脈硬化や糖尿病など、さまざまな生活習慣病と関係していることが分かってきました。
歯周病も、細菌だけでなく炎症や酸化ストレスが悪化に関わっているとされており、リコピンのような抗酸化成分が歯ぐきの健康に良い影響を与える可能性が注目されています。

4. 高齢者の8割近くがリコピン不足という研究結果

4-1. どんな研究だったのか

アメリカの研究グループは、「高齢者におけるリコピンの摂取量と歯周病の関係」を調べるために、大規模な健康調査データ(NHANES 2009〜2014年)を解析しました。
対象となったのは、65〜79歳の高齢者1,227人で、食事からとっているリコピンの量と、口の中の検査結果(歯周病の有無や重症度)を詳しく分析しています。

年齢、性別、人種、喫煙の有無、糖尿病の有無、教育歴など、歯周病に影響しそうな要因も統計的に調整したうえで、リコピンと歯周病の関係を評価した点が、この研究の特徴です。

4-2. 高齢者の77.9%がリコピン不足

この研究では、食事からのリコピン摂取量をもとに、「十分とれているグループ」と「不足しているグループ」に分けて比較しました。
その結果、次のことが分かりました。

  • 対象となった高齢者1,227人のうち、22.1%だけがリコピンを十分とれていた
  • 残りの77.9%(981人)は、リコピン摂取が不足しているグループに入っていた

つまり、10人中およそ8人が「リコピン不足」と考えられる食生活だった、という結果です。

また、全体の約48.7%の人に、何らかの歯周病が認められました。
歯周病は高齢になるほど多くなることが分かっていますが、この数字からも、決して珍しい病気ではないことがわかります。

4-3. リコピンが多い人は重度歯周炎が少なかった

さらに重要なポイントは、「リコピン摂取量と重度歯周炎の関係」です。

  • 十分なリコピンをとっているグループでは、重度歯周炎の人の割合が少なかったことが示されました。
  • 統計的な解析では、リコピンを十分とっている人は、不足している人に比べて、重度歯周炎になるリスク(オッズ)が約3分の1(オッズ比0.33)と推定されました。

この結果から、「高齢者でリコピンが不足している人が多く、その不足が重い歯周病のリスクの高さと関係している可能性がある」と考えられます。

ただし、この研究は「観察研究」と呼ばれるタイプで、「リコピンが少ないから必ず歯周病が悪化する」と因果関係を言い切るものではありません。
あくまで、「リコピン摂取量が少ない人ほど、重度歯周炎が多い」という関連が見られた、という段階であることは、正直にお伝えしておきたいと思います。

5. どのようにリコピンをとればよいのか

研究では、トマトそのものだけでなく、食事全体からのリコピン摂取量が評価されています。
一般の生活の中では、次のような食品からリコピンをとることができます。

  • トマト(生のトマト、ミニトマト)
  • トマトジュース(食塩無添加のものがおすすめ)
  • トマトソース、トマト缶を使った料理(パスタソース、スープ、煮込み料理など)
  • スイカ、ピンクグレープフルーツなどの赤い果物

リコピンは脂に溶けやすい性質があるため、オリーブオイルなどの油と一緒にとると、体への吸収が良くなることが知られています。
そのため、トマトサラダにオリーブオイルのドレッシングをかけたり、トマトソースをオイルと一緒に煮込んだりする調理法は、理にかなっていると言えます。

「これだけ食べれば絶対安心」という厳密な量が決まっているわけではありませんが、

  • 毎日の食事の中に、トマトやトマト製品を意識して取り入れる
  • 色の濃い野菜や果物をバランスよく食べる

といった工夫が、歯ぐきだけでなく全身の健康にもプラスに働く可能性があります。

6. リコピンだけに頼らない「歯ぐきケア」の基本

ここまで読むと、「トマトさえ食べていれば歯周病は防げる」と感じてしまうかもしれませんが、それは正しくありません。
歯周病の一番の原因は、歯と歯ぐきの境目につく細菌のかたまり(プラーク・バイオフィルム)です。

歯ぐきの健康を守るためには、次のような基本的なケアが土台になります。

毎日のていねいな歯みがき

  • 歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れも落とすことが大切です。

定期的な歯科検診・クリーニング

  • 自分では取りきれない歯石やプラークを、歯科医院で専門的に除去してもらうことで、歯周病の進行を抑えることができます。

喫煙を控える

  • 喫煙は歯周病を悪化させる大きなリスク要因であり、禁煙は歯ぐきの健康にも有利に働きます。

糖尿病などの全身疾患のコントロール

  • 糖尿病は歯周病と相互に悪影響を及ぼすことが分かっており、血糖コントロールも大切です。

その上で、「日々の食事でリコピンをはじめとする抗酸化成分をしっかりとることは、歯ぐきの健康を守る“プラスアルファ”の工夫」と考えていただくと良いと思います。

7. まとめ:毎日の食事とお口のケアで歯ぐきを守ろう

アメリカの研究では、65〜79歳の高齢者1,227人のうち、77.9%がリコピン不足と考えられる食生活をしていたこと、そしてリコピンを十分とっている人は重度歯周炎になるリスクが約3分の1に抑えられていたことが報告されました。
この結果は、「高齢期の歯ぐきの健康を守るうえで、食事の中のリコピンが一つの鍵になるかもしれない」ことを示唆しています。

もちろん、リコピンだけですべてが決まるわけではなく、毎日の歯みがきや定期的な歯科受診、禁煙、全身の健康管理など、基本的な対策が何よりも大切です。
そのうえで、「トマトやトマト料理を日々の食卓に少し意識して増やしてみる」ことは、無理なく始められる歯周病予防の一歩と言えるでしょう。

ご自身やご家族の歯ぐきの状態、歯周病が気になる方は、ぜひ一度、当院までご相談ください。

参考文献

  1. Lycopene, Race and Periodontitis: Disparities in Older Adults (2025)
    リコピン摂取量と高齢者の重度歯周炎リスクとの関連:人種差を含めた検討
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41391269/
  2. Lycopene, Race and Periodontitis: Disparities in Older Adults – PMC (2025)
    リコピン摂取不足と重度歯周炎との関連を示したオープンアクセス版全文
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12765097/
  3. Study links low lycopene intake to higher risk of severe gum disease in older adults (2026)
    高齢者におけるリコピン摂取不足と重度歯周炎リスク上昇の関連を解説したニュースリリース
    https://www.eurekalert.org/news-releases/1111857
  4. Lycopene: A Potent Antioxidant with Multiple Health Benefits (2024)
    リコピンの抗酸化作用と健康効果に関する総説
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11179732/

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