コラム|船橋の歯医者・矯正歯科|かわせみデンタルクリニック

初診のみ
WEB予約
電話予約
初診のみ
WEB予約

コラム

コラムCOLUMN

フッ化物の届け方でむし歯予防効果は変わる?歯磨き粉のペーストとジェル・泡・洗口液・歯科医院の塗布の選び方

最終更新日:2026/10/25

成人11人が同じ濃度(950ppmF)の歯磨き粉(歯磨剤)3製品を使った試験では、調べた泡状の製品を使った後に唾液のフッ化物濃度が最も高く保たれました。むし歯の発生は測っていません。ppmFはフッ化物の濃度の単位です。歯磨剤は年齢に合う濃度と使いやすさで選び、ほかの予防は歯の状態から考えます。

目次
  1. どんなときに、どの方法を選ぶ?
  2. 歯磨剤・洗口液・塗布ジェルで、予防効果に差はある?
  3. ペーストはジェルより数値上高く、明確な差は確認されず
  4. 泡は唾液にフッ化物が長く残る
  5. 歯磨剤と追加策を組み合わせた予防効果
  6. 洗口液は、うがいして吐き出せる人の追加策
  7. バーニッシュの効果と日本での承認範囲
  8. フッ化物ケアは、結局どれを使えばいい?

どんなときに、どの方法を選ぶ?

普段の歯磨きに合う種類を選び、むし歯になりやすい人や、歯の根元にむし歯(根面う蝕)がある人は、洗口液(フッ化物入りのうがい液)や歯科医院での処置を加えるか考えます。

方法選ぶ理由・向く場面予防上の役割
ペースト状歯磨剤普段の歯磨きで使い慣れており、無理なく続けられる毎日の基本。年齢に合うフッ化物濃度と量で使う 1,2
ジェル状歯磨剤泡立ちや香味を抑えて磨きたい、研磨剤を含まない製品を選びたい毎日の歯磨剤の選択肢。泡立ちが少ないか、研磨剤を含まないかは製品ごとに違う 1,3
泡状歯磨剤泡で磨きたい、香味が苦手、口が乾きやすい毎日の歯磨剤の選択肢。調べた泡状の製品では、唾液にフッ化物が最も長く残った 3,4
フッ化物洗口液うがいして吐き出せ、追加の予防が必要歯磨きに加える。子どもの永久歯のむし歯予防や、大人の根面う蝕の予防・進行を止める目的で使う場面がある 5,6,7
フッ化物バーニッシュ(歯に塗るフッ化物の薬)歯科医院で、歯の状態を診て歯に塗る子どものむし歯予防や、進んでいる根面う蝕を止める研究がある。日本ではむし歯に使うことは承認されていない(後述) 6,8,9

歯磨剤・洗口液・塗布ジェルで、予防効果に差はある?

16歳以下を対象とした17研究を集めて比べると、歯磨剤と洗口液、歯磨剤と塗布ジェルの予防効果に差は確認されませんでした。

多くの研究をまとめて評価するコクランレビュー(2004年)は、16歳以下を対象にした17の研究を集め、新しくむし歯になった場所(歯の面)の数を比べました。歯磨剤と洗口液、歯磨剤と塗布ジェルの差は、どちらも平均0%でした。結果の幅はそれぞれ−18〜19%、−21〜21%で、差は確認されませんでした。10

括弧内の幅は95%信頼区間で、結果にどれほど幅があるかを示します。ここでの「ジェル」は歯に塗る製剤を指します。家庭用のジェル状歯磨剤とは別のものです。家庭で使う歯磨剤のペースト・ジェル・泡の違いは、次の節から、唾液に残るフッ化物の量で比べます。

ペーストはジェルより数値上高く、明確な差は確認されず

同じ950ppmFの製品では、磨いた後4時間に唾液に残ったフッ化物の量はペーストが24.3、ジェルが13.5ppm・分でした。数値上はペーストが高く、統計的な差は明確に出ていません。

国内研究で成人11人が950ppmFのペーストとジェルを比べたところ、磨いた後4時間の唾液中濃度を積み上げた値は、ペーストが24.3、ジェルが13.5ppm・分でした。数値上はペーストが高く、統計的な差は明確に出ていません。4

日本小児歯科学会など4つの学会は2023年の提言で、歯が生えてから5歳までは900〜1000ppmF、6歳以上は1400〜1500ppmFを目安とし、年齢ごとの使用量を示しています。同じ濃度でも、1回に使う量が違えば、口に入るフッ化物の量も変わります。1

濃度による差は、実際に増えたむし歯の数でも調べられました。子どもや若い人の永久歯では、1450〜1500ppmFは1000〜1250ppmFよりむし歯の増加をわずかに抑えました。2400〜2800ppmFまで上げても、1450〜1500ppmFとの差は見られませんでした。2

ペーストかジェルかを選ぶ前提は、年齢に合う濃度と量を満たす製品であることです。そのうえで泡立ちや香味、研磨剤の有無を見て、毎日続けやすいほうを選びます。ジェルには、泡立ちが少ない製品や研磨剤を含まない製品もあります。ジェルも製品表示に沿った量と回数で使ってください。1,3

ペーストで快適に磨けているなら、そのまま続けて構いません。泡立ちや香味が苦手なら、泡立ちが少ないジェルも選べます。3

フッ化物の種類や比べた製品で、唾液への残り方に差

同じ1500ppmFのペーストでも、フッ化物の種類が違うと、唾液への残り方に差が出ました。

別の国内研究では、成人8人が、フッ化物の種類が違う2つのペースト状歯磨剤を使いました。磨いたあと3時間に唾液に残ったフッ化物は、フッ化ナトリウムを使った製品のほうが、モノフルオロリン酸ナトリウムを使った製品より多く、約2倍でした。この差は統計的にも確かめられています。11

さらに高濃度の製品を調べた試験では、健康な成人48人が1450ppmFまたは5000ppmFの歯磨剤を3週間使いました。最後の歯磨きから平均約7時間後、唾液のフッ化物濃度は、1450ppmFを使った人たちで0.023ppmF、5000ppmFを使った人たちで0.044ppmFでした。数値は掛け算を基に計算した幾何平均です。この試験はデンマークで濃度の異なる別の製品を比べ、むし歯の発生は測っていません。日本の4学会提言で6歳以上の一般向けに示された濃度は1400〜1500ppmFです。12

泡は唾液にフッ化物が長く残る

成人11人が同じ950ppmFの3製品を使った研究では、調べた泡状の製品を使った後に唾液のフッ化物濃度が最も高く保たれました。3製品の配合成分は異なり、むし歯の発生は測っていません。4

2021年の国内研究では、健康な成人11人が950ppmFのペースト・ジェル・泡をそれぞれ0.5g使って2分間磨き、磨いたあと4時間の唾液のフッ化物濃度を比べました。4時間分を積み上げた値は、調べた泡状の製品がペーストとジェルのどちらよりも統計的にはっきり高く、4時間後も約0.09ppmF残っていました。4

成分表を見ると、ペーストと泡には泡立ちのもと(発泡剤)のラウリル硫酸Naが入り、ジェルには入っていません。研究者は、ペーストとジェルの数字の開きに発泡剤の有無が関わった可能性を挙げています。4

泡には、成分を溶けやすくする成分や、泡立ちを助ける成分も入っています。研究者は、泡が口全体に広がり、ほおの内側や歯ぐきなどにとどまったフッ化物が少しずつ唾液へ戻ると考えました。4

1450ppmFの「磨くと泡になるジェル」2種類、通常の1450ppmF歯磨剤、フッ化物なしの製品を比べた研究もあります。口の中に取り付けた試験用の歯のかけらでは、フッ化物入りの3製品で、溶けかけた部分の修復(再石灰化)がよく進みました。3製品の間に統計的な差は確認されませんでした。2週間、口の中の試料で再石灰化を測った研究で、むし歯の発生数は調べていません。13

メーカーの資料にも、泡とペーストで磨いた後や、歯磨剤にジェル・洗口液を加えた翌朝の唾液のフッ化物を示す図があります。3,14

メーカーは泡状製品を、うがいが苦手な乳幼児や高齢者、唾液が少ない人、香味に敏感な人にも勧めています。3 使いやすさに加え、調べた泡状の製品で唾液中にフッ化物が長く残った測定結果も選ぶ材料です。年齢に合う濃度と1回量の製品を選び、対象年齢を確認します。4

歯磨剤と追加策を組み合わせた予防効果

子どもの研究では、歯磨剤に洗口液・塗布ジェル・バーニッシュのいずれかを加えると、新しくむし歯になった歯面の増加が、歯磨剤だけより平均10%少ない結果でした。

2004年の別のコクランレビューは、歯磨剤に洗口液・塗布ジェル・バーニッシュのいずれかを加えた9研究、計4,026人をまとめています。差の95%信頼区間は2〜17%でした。洗口液だけ、塗布ジェルだけに分けると、統計的にはっきりした差は出ませんでした。泡状歯磨剤は調べていません。15

根面う蝕がいま進んでいる成人には、歯磨剤に加えて洗口液を毎日使う方法を、日本歯科保存学会が強く推奨しています。2つの研究では、洗口液を加えた人はフッ化物の入っていない洗口剤を使った人より、むし歯の部分が硬くなって進行が止まる割合が高くなりました。6

洗口液は、うがいして吐き出せる人の追加策

フッ化物洗口は子ども専用ではありません。永久歯の予防をしたい子ども、むし歯の再発や根面う蝕が心配な成人・高齢者、歯みがきが難しく、むし歯になりやすい人に使う場面があります。5,6

子どもや10代を対象にしたコクランレビューは、主に学校での定期的な洗口を調べました。永久歯に新しくむし歯ができた場所の数は、洗口しない場合などに比べて平均27%少ない結果でした。7

厚生労働省は成人・高齢者のむし歯の再発防止と根面う蝕の予防にも洗口が役立つとし、歯みがきが難しく、むし歯になりやすい人にも、きちんとうがいできるなら有効との考え方を示しています。5 うがいした液を飲み込まずに吐き出すことが前提のため、4歳未満は対象外です。決められた量を口に含み、吐き出せるかを確かめてから始めます。5

洗口液には毎日使う方法と週1回使う方法があり、濃度も異なります。歯磨剤の「900ppmF」と洗口液の「900ppmF」を数字だけで比べることはできません。1回量と使う頻度が違うためです。5

成人16人が0.05%フッ化ナトリウム溶液(約225ppmF)で1回うがいし、その後の唾液を測った研究があります。5分後の唾液中フッ化物濃度は平均3.2ppmFで、平均して約2時間で洗口前の水準に戻りました。16

バーニッシュの効果と日本での承認範囲

フッ化物バーニッシュは、小児のむし歯を減らした研究がありますが、日本で承認されている用途は知覚過敏(歯がしみる症状)の抑制です。

フッ化物バーニッシュは、歯科医院で歯に塗る、濃いフッ化物を含む薬です。子どもを対象にした2013年のコクランレビューでは、塗らない場合などと比べ、新しくむし歯ができた場所の数が永久歯で平均43%、乳歯で平均37%少ないという結果でした。8 洗口液の27%とは対象や条件が違う研究の数字です。

日本歯科保存学会は2026年の根面う蝕診療ガイドラインで、すでにできて進んでいる根面う蝕を止めるため、1〜3か月ごとのバーニッシュ塗布を強く推奨しました。6

ただし、日本で流通するフッ化物バーニッシュが承認されている用途は知覚過敏の抑制で、むし歯の予防・進行抑制には承認されていません。同ガイドラインもこの点を明記しており、国内の製品「Fバニッシュ歯科用5%」の説明書(添付文書)でも、使える目的は知覚過敏の抑制とされています。6,9 承認外のむし歯への使用は、歯科医師がむし歯の状態を診て、責任と管理のもとで適応を判断します。6

フッ化物ケアは、結局どれを使えばいい?

毎日の歯磨剤を続け、むし歯の再発や根面う蝕が気になるときに、洗口液や歯科医院での処置を相談します。

フッ化物ケアの選び方のまとめ図。毎日の基本は年齢に合う濃度の歯磨剤、追加策は洗口液、歯科医院ではバーニッシュ
出典:記事の内容をまとめて当院で作成1,5,6,10

子どもなら、年齢に合う濃度と使用量、洗口できるかが確認のポイントです。成人で歯ぐきが下がり、歯の根元が出ているなら、そこのむし歯がいま進行中かどうかを歯科医院で調べます。進行中なら、削らずに進行を止める方法として、歯磨剤と洗口液を一緒に使う方法が国内のガイドラインで推奨されています。1,5,6

歯磨剤選びは年齢に合う濃度が先で、泡立ち、香味、研磨剤の有無はそのあとです。同じ950ppmFの3製品の比較では、調べた泡状の製品で唾液にフッ化物が最も長く残りました。4 洗口液や歯科医院での処置を足すかは、むし歯のなりやすさと実際の歯の状態から選びます。5,6,15

かわせみデンタルクリニックでは、歯の状態と毎日のケアを確認し、続けやすい予防方法をご案内します。詳しくは予防歯科をご覧ください。

関連記事

参考文献

  1. 日本小児歯科学会ほか「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について」2023年。学会の掲載ページ
  2. Walsh T, et al. Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;3:CD007868. doi:10.1002/14651858.CD007868.pub3. Cochrane
  3. ライオン歯科材「Check-Up gel 500 / gel」「Check-Up foam」製品情報・製品Q&A。ジェル、フォーム
  4. 廣瀬弥奈ほか「剤型別フッ化物配合歯磨剤使用後の唾液中フッ素イオンの経時的変化」口腔衛生学会雑誌. 2021;71(1):36-45. doi:10.5834/jdh.71.1_36. J-STAGE
  5. 厚生労働省「フッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方」2022年。歯科口腔保健関連情報
  6. 日本歯科保存学会『根面う蝕の診療ガイドライン-非切削でのマネジメント-CQ4追加版』2026年。学会の掲載ページ
  7. Marinho VCC, et al. Fluoride mouthrinses for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2016;7:CD002284. doi:10.1002/14651858.CD002284.pub2. Cochrane
  8. Marinho VCC, et al. Fluoride varnishes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2013;7:CD002279. doi:10.1002/14651858.CD002279.pub2. Cochrane
  9. 医薬品医療機器総合機構「Fバニッシュ歯科用5% 添付文書」。医薬品情報
  10. Marinho VCC, et al. One topical fluoride (toothpastes, or mouthrinses, or gels, or varnishes) versus another for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2004;1:CD002780. doi:10.1002/14651858.CD002780.pub2. Cochrane
  11. Hirose M, et al. Fluoride retention in saliva following toothbrushing using different types of fluoridated dentifrices containing 1500 ppm F of NaF and MFP. Pediatr Dent J. 2015;25(2):45-49. doi:10.1016/j.pdj.2015.04.001. 出版社の論文
  12. Staun Larsen L, Nyvad B, Baelum V. Salivary fluoride levels after daily brushing with 5000 ppm fluoride toothpaste: A randomised, controlled clinical trial. Eur J Oral Sci. 2023;131(3):e12934. doi:10.1111/eos.12934. PubMed
  13. Barlow AP, et al. Exploratory randomized clinical trial of an experimental gel-to-foam fluoride dentifrice formulation using an in situ caries model. J Clin Dent. 2015;26(2):33–38. 大学リポジトリ
  14. ライオン歯科材「フッ化ナトリウム洗口液0.1%【ライオン】製品ガイド」(唾液中フッ化物濃度の図)。製品資料
  15. Marinho VCC, et al. Combinations of topical fluoride (toothpastes, mouthrinses, gels, varnishes) versus single topical fluoride for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database Syst Rev. 2004;1:CD002781. doi:10.1002/14651858.CD002781.pub2. Cochrane
  16. Eakle WS, et al. Salivary fluoride levels following application of fluoride varnish or fluoride rinse. Community Dent Oral Epidemiol. 2004;32(6):462-469. doi:10.1111/j.1600-0528.2004.00185.x. 論文


執筆・監修 中村 瞬
かわせみデンタルクリニック 院長 / 歯学博士(歯科麻酔学)/ 日本歯科麻酔科学会 認定医
医療記事を数多く執筆。TV取材多数
医学的根拠(エビデンス)に基づく、正確で分かりやすい情報を患者目線でお届けします。


かわせみデンタルクリニック|船橋の歯医者・矯正歯科

所在地:〒273-0005 千葉県船橋市本町6丁目3−20 ベルヴィル船橋本町 1階B号室
電話番号:047-409-2988
JR・東武鉄道「船橋」駅 徒歩4分
平日 9:00 ~ 13:00 14:30 ~ 18:00
土曜 9:00 ~ 13:00 14:00 ~ 17:00
(休診:日曜・月曜・祝日)

当院は、初診時にしっかりと検査を行い、歯周病・虫歯・根管治療から矯正歯科・小児矯正まで、丁寧にご説明のうえで治療を進める方針です。
治療後も再発予防に努め、安心して通える歯科医院を目指します。