歯磨き粉のフッ素濃度は何ppmがいい?900・1450・2800・5000ppmの違い
最終更新日:2026/10/14
ppmFはフッ素濃度の表示で、年齢と1回の量が選ぶ目安です。日本の歯科関連4学会は、5歳まで900〜1000ppmFを少量、6歳以上は1400〜1500ppmFを年齢に合った量で使うよう勧めています。英国では2800・5000ppmFを、むし歯リスクの高い人に用います。1,2
目次
まず年齢で選ぶ:濃度と使用量はセット
日本の歯科関連4学会が2023年に示した使い方を、購入時に確かめやすい形にまとめると次のとおりです。どの年齢も、就寝前を含めて1日2回磨きます。1
| 年齢 | フッ化物濃度 | 1回の量 | 磨き方 |
|---|---|---|---|
| 歯が生えてから2歳 | 900〜1000ppmF | 米粒程度(1〜2mm) | 保護者が量を管理 |
| 3〜5歳 | 900〜1000ppmF | グリーンピース程度(約5mm) | 軽く吐き出し、すすぐなら少量の水で1回 |
| 6歳以上と成人 | 1400〜1500ppmF | 歯ブラシ全体(1.5〜2cm) | 軽く吐き出し、すすぐなら少量の水で1回 |

容器のppmF表示と1回量を、使う子どもの年齢に合わせて確認します。乳幼児が使う歯磨剤は保護者が取り出し、チューブを子どもの手の届かない所に保管してください。1
歯磨き後の対応も年齢で異なります。歯が生えてから2歳までは、歯磨剤が口に残る場合にティッシュなどで軽く拭き取ってもかまいません。3〜5歳では、保護者が必要に応じて歯ブラシに適量を出します。磨いた後に何度も水ですすぐと口の中に残るフッ化物が減るため、4学会は3歳以上で、すすぐなら少量の水で1回としています。1,2
4つの濃度の違い
| 濃度の例 | 主な位置づけ | 選ぶときの要点 |
|---|---|---|
| 900ppmF | 日本の4学会が5歳までに勧める範囲 | 年齢に合わせて米粒程度またはグリーンピース程度を使う1 |
| 1450ppmF | 同じく6歳以上に勧める範囲 | 年齢に合う量を使い、就寝前を含め1日2回磨く1 |
| 2800ppmF | 英国で10歳以上の高リスク者に検討する処方対象 | 1450〜1500ppmFより予防効果が高いかは、比較研究で明確ではない2,3 |
| 5000ppmF | 英国で16歳以上の高リスク者に検討する処方対象 | 歯の根元のむし歯で、進行を止める効果を示した研究がある2,4 |
国内での900・1450ppmFの表示と制度
ppmFは歯磨剤に含まれるフッ化物をフッ素として表した濃度です。900ppmFは約0.09%、1450ppmFは約0.145%に相当します。パッケージに900、950、1000ppmFなどの数字が並ぶのは、製品ごとに配合濃度が違うためです。
濃度の数字と、むし歯予防効果の倍率は別です。研究では、歯に新しく生じるむし歯の増え方を比べています。3
500ppmFはなぜ推奨から消えたのか
500ppmFが推奨から消えたのは、乳幼児向けの濃度と1回量の目安が見直されたためです。製品の承認と学会の推奨は別々の話で、流れは次のとおりです。1,5,6
| 時期 | 変わったこと |
|---|---|
| 2017年 | 厚生労働省が、それまでの国内最高濃度1000ppmFを超える薬用歯磨き類を承認した。6 |
| 2018年の年齢別目安 | 5歳までは通常500ppmF、6〜14歳は1000ppmF、15歳以上は1000〜1500ppmF。5歳以下でも泡状などには1000ppmFの例外があった。7 |
| 2023年 | 4学会が、5歳までの推奨を1000ppmFを基本とする900〜1000ppmFへ見直し、年齢別の少量使用を示した。1,5 |
当時の1000ppmFは、6〜14歳に通常勧める濃度でした。5歳以下では通常500ppmFで、泡状などに1000ppmFの例外が設けられていました。7
日本小児歯科学会は、1000ppmF未満の歯磨剤ではむし歯予防効果の裏づけが十分でないことを変更理由に挙げています。4学会の表は1000ppmFを推奨値とし、国内製品に合わせた実用上の幅として900〜1000ppmFを併記しています。900ppmFは従来の1000ppmF以下の範囲に入り、2023年に新たに解禁された濃度ではありません。1,5,6
日本歯磨工業会の自主基準は、1000ppmF超〜1500ppmF以下の製品の注意表示などを定めています。500ppmFを乳幼児に勧めるかどうかは、2023年の学会提言で見直された点です。5,6 900ppmFと1450ppmFは、それぞれ5歳までと6歳以上の推奨範囲に入る、歯磨剤の配合濃度です。選ぶときは、年齢に合う1回量も一緒に確認します。1
濃度ごとのむし歯予防効果
2019年に公表されたコクランレビューは、濃度の異なるフッ化物配合歯磨剤を調べた96研究の結果をまとめたものです。小児と若年者の永久歯では、1000〜1250ppmFも1450〜1500ppmFも、フッ化物を含まない歯磨剤よりむし歯の増加を抑えました。濃度同士の比較では、1450〜1500ppmFが1000〜1250ppmFよりわずかに有利でした。3
一方、同じレビューでは2400〜2800ppmFと1450〜1500ppmFの比較で、効果の差は明確ではありませんでした。高濃度を使うかどうかは、年齢、むし歯リスク、毎日の使い方を踏まえた判断が必要です。2,3
レビューの対象は、主に小児と若年者の永久歯でした。乳歯や成人の永久歯については、濃度差を判断できる研究が限られます。成人では、1000〜1100ppmFとフッ化物を含まない歯磨剤の比較で、前者がむし歯の増加を抑えたという結果があります。3
海外での2800・5000ppmFの使い方
英国では1500ppmFを超える歯磨剤は歯科医の処方対象です。予防ガイダンスは、2800ppmFをむし歯リスクが高い10歳以上、5000ppmFを同じく16歳以上に検討する濃度としています。2
2800ppmFでは、すでにむし歯があることや、糖分を摂る機会が多い食生活、むし歯の原因になりやすい薬などが判断材料です。5000ppmFでは、歯の根元や歯冠(歯の頭の部分)にできたむし歯、口の乾き、頭や首への放射線治療歴なども挙げられています。英国のガイダンスは、使用中もむし歯リスクを見直し、長期使用を特別な事情がある場合に限っています。2
歯の根元にできるむし歯(根面う蝕)について、Wierichsらが2015年に公表した研究レビューでは、5000ppmFの歯磨剤が1100〜1450ppmFより、むし歯の進行を止める点で有利でした。根拠となった質の高い試験は少数で、確認された効果は主に根面う蝕についてです。4
「高濃度でも効果の差が明確でない」という結果は、この5000ppmF歯磨剤の結果とは対象が異なります。前者は小児・若年者の永久歯に新しくできるむし歯を、2400〜2800ppmFと1450〜1500ppmFで比べたものです。後者は、成人の根面う蝕で進行が止まるかを、5000ppmFと1100〜1450ppmFの歯磨剤で比べています。3,4
日本の4学会は5000ppmFの根面う蝕への効果を認める一方、2023年の提言時点で国内では市販されていません。英国の年齢基準や製品を、そのまま日本での購入・使用の案内に置き換えないでください。1,2
乳幼児の歯のフッ素症と使用量
歯が作られる時期にフッ化物を長く多く飲み込むと、歯のフッ素症(歯の白い斑点など)が起こる可能性があります。6歳未満の研究をまとめたWrightらのレビューは、むし歯リスクが高い乳幼児での歯磨剤の予防効果を示す一方、グリーンピース大以上を飲み込むことが軽度の歯のフッ素症につながり得ると報告しました。8
家庭でできる対策は、年齢に合う量を保護者が出して、磨いた後に吐き出す練習を支えることです。2歳までの米粒程度、3〜5歳のグリーンピース程度という目安なら、フッ化物の予防効果を生かしながら、飲み込む量を抑えられます。1,8
歯科医院で伝える使用状況
新しいむし歯を繰り返す、口が乾く、歯ぐきが下がって歯根が見える、子どもが歯磨剤を飲み込みがちといった場合は、歯科医院で使い方を相談できます。使っている製品の濃度と1回量を伝えてください。フッ化物を含む液でのうがい(フッ化物洗口)や歯科医院での塗布を併用していれば、その頻度も伝えましょう。1,2,4
4歳以上で適切にうがいができる子で口の清掃が難しく、むし歯リスクが高い場合にはフッ化物洗口の併用も選択肢になります。9 歯の根元に進行中のむし歯がある成人には、日本歯科保存学会の2026年版ガイドラインが歯磨剤と洗口液の毎日の併用を勧めています。使い方は歯科医師と相談しましょう。10
相談時には、製品の容器や表示の写真があると濃度を確認しやすくなります。就寝前に磨けているか、磨いた後にどのくらいすすぐか、最近むし歯が増えたかも、家庭での使い方を一緒に考えるのに役立ちます。濃度を変える必要があるか、続けられる量と磨き方も合わせて確認しましょう。1,2
根面う蝕の参考:歯磨剤とバーニッシュ
日本歯科保存学会の2026年版ガイドラインは、歯科医院で塗るフッ化物バーニッシュも根面う蝕に推奨しています。ただし、2026年時点の国内製品は知覚過敏を和らげる用途で承認されており、むし歯予防・進行抑制の用途は承認されていません。10
患者さんの根面う蝕の進行抑制については、5000ppmF歯磨剤とフッ化物バーニッシュを直接比べた結果は、今回の調査では見つけられませんでした。歯磨剤は1100〜1450ppmF歯磨剤と、バーニッシュは塗らない場合と比べ、根面う蝕の進行が止まるかを調べています。文献4では、バーニッシュの試験の比較条件や報告がそろわず、結果を統合できませんでした。これらの資料から、歯磨剤とバーニッシュの優劣は決められません。4,10
毎日の選び方のまとめ
毎日の選び方は、濃度と1回量をセットで考えます。日本の4学会の目安では、5歳までは900〜1000ppmF、6歳以上は1400〜1500ppmFを、それぞれ年齢に合った量で使いましょう。1 かわせみデンタルクリニックでは、歯の状態と普段の使い方を確認し、ご家庭で続けられる予防ケアをご案内しています。詳しくは予防歯科をご覧ください。
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参考文献
- 日本口腔衛生学会など4学会.フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について.2023年.
- Department of Health and Social Careほか.Delivering better oral health: Chapter 9, fluoride.2025年更新.
- Walsh T, et al. Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;3:CD007868. doi:10.1002/14651858.CD007868.pub3.
- Wierichs RJ, Meyer-Lueckel H. Systematic review on noninvasive treatment of root caries lesions. J Dent Res. 2015;94:261–271. doi:10.1177/0022034514557330.
- 日本小児歯科学会.「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について」の補足版(一般の皆様向け).2023年.
- 厚生労働省.フッ化物を配合する薬用歯みがき類の使用上の注意について.2017年.
- 日本口腔衛生学会 フッ化物応用委員会.フッ化物配合歯磨剤に関する日本口腔衛生学会の考え方.2018年.
- Wright JT, et al. Fluoride toothpaste efficacy and safety in children younger than 6 years: a systematic review. J Am Dent Assoc. 2014;145:182–189. doi:10.14219/jada.2013.37.
- 厚生労働省.「フッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方」について.2022年.
- 日本歯科保存学会.根面う蝕の診療ガイドライン-非切削でのマネジメント-CQ4追加版.2026年.
執筆・監修 中村 瞬
かわせみデンタルクリニック 院長 / 歯学博士(歯科麻酔学)/ 日本歯科麻酔科学会 認定医
医療記事を数多く執筆。TV取材多数
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